「検査結果は異常なし」。医師からはそう告げられた。でも、生まれてきた我が子はダウン症を患い、3ヵ月でこの世を去った―出生前診断の告知ミスをめぐる国内初の訴訟で、ついに判決が下された。 「私たちは息子が受けた苦しみに対して、ミスをした遠藤先生本人から謝ってもらいたいと思って訴えを起こしたんです。 確かに、もし告知ミスがなければ、あの子は生まれてこなかったかもしれない。でも一度生まれてきた以上は、痛くて泣いている我が子に、何かしてやりたいというのが親として自然な気持ちではないでしょうか。 ですから、賠償金が全額認められた一方で、『亡くなった子供に対して慰謝料を支払う義務はない』という判決が下ったのは残念です。たとえ私たちへの賠償金が減ったとしても、遠藤先生には一言、息子に対して謝ってほしかった」 こう語るのは、北海道北斗市に住む太田紀子さん(仮名、44歳)だ。 さる6月5日、太田さん夫