お伊勢参りはかつて江戸から片道約15日も歩く、一生に一度の旅行でした。庶民の参詣が盛んになった江戸時代、彼らは街道のあちこちを見物し、各地の名物を食し、土産を買い求めました▼さまざまな地域や人との出会い、触れ合い。多くを見聞し、発見し、学んだ長い道中にこそ旅の格別な楽しみがあり、醍醐味(だいごみ)があったのでしょう。まさか、その道中でこんな目に遭おうとは▼白昼の新幹線で起きた焼身自殺による火災。熱風と黒煙に包まれて亡くなった女性は、お伊勢参りの途中でした。自身のフェイスブックには「今年、早くも折り返し。今日はこれまでの平穏無事のお礼参りに伊勢神宮へ伺います」と書き込んでいました▼死者2人、重軽傷者26人。惨事を引き起こした71歳の男性はポリタンクにガソリンのような液体を入れて持ち歩き、それを自らかぶって火をつけたと、乗客らが証言しています。JR各社は危険物の持ち込みについて対策を話し合うこ
![きょうの潮流 2015年7月2日(木)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/8510216a130e7d5e9d1c2a4860958f4849328594/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fwww.jcp.or.jp%2Fakahata%2Fweb_img%2Fakahata-kakusan.jpg)