今年のアジア・アフリカ会議は60周年であっただけでなく、開催国のインドネシアにとっては、ついに誕生した本格的な民主政権のジョコ・ウィドド大統領がホストとなった点でも意義深いものだった。だが日本のメディアの関心は、首脳たちの記念撮影でそのジョコヴィの左右を固めた習近平中国主席と安倍晋三日本首相にしか向いていない。それにしても安倍晋三首相自身が、ジョコ大統領にも他の首脳達にも目もくれず、ひたすら習近平の握手を求めようと懸命に待ち構えている映像がNHKのニュースで流れたのには、「ああ、なんてこった」と呆れてしまった。 この会議では日本政府の関心が日中首脳会談にしか向いていないのだから、メディアがそうなるのも仕方がないのだろう(こうした外遊では外務省と官邸の差配で報道内容がだいたい決まるものだし)。しかも安倍氏がわざわざこの会議の参加直前に、戦後70年記念談話について「村山談話、小泉談話を引き継ぐ