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総選挙についてのマスコミ各社の予測が出たが、すべて「自民圧勝」を予測し、単独過半数の勢いとするものが多い。ほぼ現状維持の公明党を加えれば、自民党が政権に復帰することは確実だ。民主党は100議席を大幅に割り込み、第三党は民主党に近い議席を取る日本維新の会というのが共通の予測である。 自民党は原発については「10年かけて検討する」と曖昧な表現で、安倍総裁もほとんど言及しない。当初は「原発ゼロ」をとなえていた維新の会は、太陽の党との合併にともなって「フェードアウト」という曖昧な表現になり、公約では「脱原発依存体制の構築」という表現になった。 これに対して小沢一郎氏が脱原発の集票効果を期待してつくった未来の党は、62議席から10議席台に激減する見通しだ。同じく脱原発を掲げているみんなの党は、現在の8議席より増えるが未来の党と同じぐらいで、社民党や共産党に至っては数議席。 結果的には原発容認派が圧勝
民主党が、復興増税の中からタバコ増税を除外する方針を打ち出した。「タバコ農家を守れ」と自民党が反対しているためだ。谷垣総裁はJT株の売却にも反対し、「JT株を売却すると葉タバコの全量買い上げができなくなる」と公言した。 JTと契約している全国の葉タバコ農家は1万800軒。その既得権を守るために2.2兆円のタバコ増税をやめるというのは、驚くべき意思決定である。これによって復興増税の財源が2割減るので、所得税の増税幅が1.5%ポイント増える。 ニューズウィークでも紹介したように、日本のタバコ価格は昨年の増税(1本3.5円)でアメリカとほぼ同じになったが、今でも先進国で最低グループである。今度の増税(1本2円)でも1箱500円になる程度で、欧州の平均ぐらいだ。 昨年の増税で1割ぐらい喫煙者が減ったといわれているが、今度の増税でさらに1割減れば、年間13万人にのぼるタバコによる死者が、長期的には1
2011年10月09日15:59 カテゴリ本エネルギー 原子力への偏見と発見 朝日新聞は「原発と原爆は同じだ」という非科学的なキャンペーンを執拗に続けている。人々の恐怖に迎合して新聞を売る彼らのやり方は、戦時中の報道と同じように歴史の裁きを受けるだろう。本書は、そういう偏見から出発して原子力について調べた作家の旅の記録であり、スチュワート・ブランドも推奨するように、この問題への入門書としても最適だ。 著者は――芸術家によくあるように――かつては原子力に反対だったが、友人の科学者との会話の中で「石炭火力のほうが原子力より危険だ」という話を聞いて、多くの科学者へのインタビューを始める。そこで彼女が発見したのは、次のような事実だった:広島・長崎の被爆者は大量の放射線を浴びたと思われているが、生存者はそれほど大量に被曝していない。致死量の放射線を浴びた人は爆発によって死亡したので、被爆者の40%以
朝日新聞の世論調査によれば「脱原発」に賛成する人が77%だそうである。その質問はこうなっている: 原子力発電を利用することに、賛成ですか反対ですか。 賛成34 反対46 原子力発電を段階的に減らし、将来は、やめることに賛成ですか反対ですか。 賛成77 反対12 この他にもエネルギー政策にからんだ質問があるが、話題は「原発か否か」に集中している。きょうの夕刊の「素粒子」というコラムはもっと正直に朝日新聞の立場を表明している。 脱原発派77%、20年以内に全廃すべきだという一63%、と本紙調査。先に進む世論。くみ取る受け皿のない政治。 脱原発は「先に進んでいる」人々で、与野党ともに脱原発を打ち出さないのは「遅れている」わけだ。朝日新聞の万年野党的な「進歩史観」はまだ健在らしいが、問題はこの筆者の幼稚なバイアスではない。いま日本のエネルギーで重要な問題は原発か否かだというアジェンダ設定である。
ドイツのメルケル政権が、2022年までに原発を全廃する方針を決めた。福島事故でにわかに反原発ムードが盛り上がった日本とは違って、ドイツはもう10年以上、脱原発をめぐって議論が続いており、ある種の「覚悟」があってのことだろう。Spiegelの論評をみても、来るべきものが来たという感じで、驚きはない。 原発をなくせば事故のリスクはなくなるが、その生み出すエネルギーもなくなる。電気が減ったら、みんなが節約して「エコな生活」が実現すると思っている人もいるようだが、そんなことは起こらない。たとえばA.T.カーニーの分析によれば、日本のすべての原発を廃止すると、2020年に最大26%の電力不足が生じる。このギャップをすべて再生可能エネルギーでまかなうとすると、電気料金を70%値上げする必要がある。 こうした変化は、GDPを減らす効果はあっても増やすことはない。一般家庭にとっても電気代の値上げは実質的な
アゴラは原発容認派の意見が多いので、バランスを取るために反原発派の立場から書いてみます(私のツイッターにいつも寄せられる意見を参考にしました)。 浜岡原発を首相の「要請」で停止した影響で、定期検査を終えた原発の再稼働を拒否する自治体が増えています。福井県の西川知事は「安全が最優先だ」として、県内の原発の再稼働を拒否しました。「関西から原発をなくす」と勢い込んでいる大阪府の橋下知事は喜ぶでしょう。この他にも佐賀県の玄海原発でも県議会が再稼働に反対し、愛媛県の伊方原発でも地元は再開に反対しています。 斑目原子力安全委員長は「全電源喪失という事態を想定していない国の安全基準は明らかに間違っている」と国会で答弁し、安全基準の改訂を決定しました。これは全国の原発が「間違っている」ことを意味します。間違った安全基準で運転している全国の原発は即刻止めるべきです。命はお金に代えられません。 「東海地震の確
2011年05月21日08:40 カテゴリ法/政治 福島みずほ症候群 首相の「要請」で浜岡原発が停止されてから、各地で原発停止の住民運動が広がっている。それは当然だろう。地震確率0.0%の福島第一原発で事故が起こったのだから、地震のリスクを基準にすれば日本のすべての原発が危険だ。 この問題で一貫して明快な主張をしているのは、社民党の福島みずほ党首である。彼女は以前から浜岡の停止を求めており、今度はさらに進んで「命を大事にするために、すべての原発を即刻止めるべきだ」と主張している。その通りである。もっと一貫して、命を大事にするために、すべての自動車と飛行機の禁止を求めてはどうだろうか。 彼女に代表される「絶対安全」を求めるヒステリーは、日本社会の病である。これは彼女が派遣労働の禁止を求めていることと無関係ではない。どちらも目先の不快な現象をなくすことだけを求め、その結果を気にしない。原発を止
私は以前から「メルトダウン」という言葉は曖昧なので使うべきではないと言ってきたが、どうやら最近は「燃料棒がすべて溶けて圧力容器の底に落ちること」という日本独自の定義ができたようだ。NHKの科学文化部も、そういう意味で使っている。和製英語としてはわからなくもないが、海外では通用しない。 東電が最近になって上の図のような解析結果を発表し、地震の翌日に炉内の温度が2800℃になっていたことがわかった。これを「隠蔽していた」などと騒いでいるメディアもあるが、これはデータを解析して初めてわかったことで、隠していたわけではない。むしろ私は、別の意味で驚いた。 ブログにも書いたように、炉心溶融=メルトダウン=圧力容器の破壊というのが、原子力業界の常識であり、燃料棒が2800℃にもなったら、鉄の融点(1500℃)をはるかに超えるので、圧力容器も溶かして核燃料が格納容器に漏れ出し、容器の底の水蒸気と反応して
2011年05月14日12:00 カテゴリエネルギー 「メルトダウン」という言葉はやめよう つまらない話だが、いまだに「お前はメルトダウンしないと言ったじゃないか」という類のコメントが来るので、整理しておく。 問題を混乱させたのは、細野首相補佐官(原発担当)の発言である。彼が「1号機の原子炉の状態はいわゆる“メルトダウン”の定義が当てはまると思う。原子炉の底のほうにほぼすべての燃料が溶けて集まっているとは私も想定しておらず、認識が甘かったと反省している」と謝罪したため、メディアが「初めてメルトダウンを認めた」とか「今まで隠蔽していた」とか騒いでいるが、これは彼の個人的な定義にすぎない。 私は3月12日の記事で、保安院の資料に「燃料溶融」という言葉があることについて「燃料溶融」が完全なメルトダウン(炉心溶融)を意味するわけではない。核分裂が暴走して炉心溶融で圧力容器が破壊されると、核燃料が水
浜岡原発の運転を止める理由として、菅首相は「今後30年以内に震度6以上の地震が来る確率は87%」という地震調査研究推進本部のデータ(参考値)をあげ、「危険が切迫している」と強調した。もし政府が、本当に「まもなく東海地震が来る」と判断したのなら、事は重大である。 政府の被害想定によれば、最悪の場合、死者は9200人に達する。放射能による死者の出ていない福島原発事故より3万人近い死者の出た津波のほうが重大であるように、静岡県でも津波で死ぬ人のほうが原発事故よりはるかに多いだろう。原発を止めた以上は、静岡県全域に15mの防潮堤を建設しなければ辻褄が合わない。 そもそも東海地震は、本当に来るのだろうか。これは東大の石橋克彦氏が1976年に提唱した説で、その基本的な考え方は「東海地震は1944年の東南海地震の割れ残りなので、数年以内に起こる」というものだ。一般的な可能性ではなく、すぐにも大地震が起こ
浜岡原発についての首相の「停止要請」について協議した中部電力の臨時取締役会は結論が出ず、週明けに決定を先送りしたようです。これは当然です。首相の要請は閣議決定も経ていない個人的な「お願い」であり、それに従わなかった場合のペナルティは何もない。首相は6日の会見で「指示や命令は現在の法制度では決まっていない」と述べましたが、法的根拠のない要請(事実上の命令)を首相が公然と行なうのは言語道断です。 他方、これに従って中部電力が運転を止めると、火力発電の燃料費が今年だけで2500億円増えると予想され、これは今期の営業利益の2倍です。法的根拠のない要請に従って巨額の損失を出した場合、株主代表訴訟を起こされたら勝てないでしょう。それが歯止めになっているものと思われます。 実際には、政府は浜岡原発の運転を法的に止めることができます。いま東京高裁で係争中の浜岡原発訴訟で、中部電力に和解を勧告すればよい。こ
原子力が化石燃料より(死亡率でみる限り)安全だというのは、WHOもOECDも指摘する世界の常識だが、今それをいうことがpolitically incorrectであることは確かだ。それは9・11の直後に「飛行機は自動車より安全だ」というようなもので、いくら正しくても人々はそれを感情的に受け入れない。 このようなバイアスが生じる原因は、原発ではエネルギーの発生源で被害が出るのに対して、化石燃料では採掘事故や大気汚染など、離れた場所で被害が出るからだ。汚染者と被害者を分離することは人々のバイアスを利用して社会的コストを小さく見せる方便で、汚染者が被害者に賄賂を払えば、パレート効率的になりうる。これをコースの定理と呼ぶ。温室効果ガスの排出権取引の考え方である。 実は原発の場合も、本源的な汚染者はエネルギーを消費する都市なので、汚染者と被害者が分離されており、汚染者が電源交付金という形で発電所の地
2011年05月01日10:25 カテゴリエネルギー 酒やタバコは放射線より恐い 原発が恐れられるのは、凶悪な「放射能」で人を殺すと思われているからだろうが、放射線は特別な物質ではない。それは何十年も後に癌の発症率を数%増やすだけだ――と私がツイッターで書いたら怒る人がいるが、それは発癌物質としても特別に有害ではない(放射線についての常識をもっている人は読む必要はない)。 受動喫煙の女性1.02~1.03倍野菜不足1.06倍放射線100~200mSv1.08倍塩分の取りすぎ1.11~1.15倍放射線200~500mSv1.16倍運動不足1.15~1.19倍肥満1.22倍放射線1Sv1.4倍毎日2合以上の飲酒1.4倍放射線2Sv1.6倍喫煙1.6倍毎日3合以上の飲酒1.6倍国立がん研究センターによれば、いろいろな生活習慣と発癌性(通常に比べたリスクの大きさ)の関係は左の表のようなものだ。この
2011年04月21日11:23 カテゴリエネルギー ビル・ゲイツ、原発を語る 以前の記事でもちょっと紹介した、ビル・ゲイツの投資している原発プロジェクト「テラパワー」について、彼がTEDで語っている(日本語字幕つき)。「2050年にCO2の排出量をゼロにする」という目標はユートピア的だが、その達成方法について語っている部分はビジネスマンらしいリアリズムでおもしろい。 再生可能エネルギーは燃料を必要としない点ではすぐれているが、こういった技術で収集できるエネルギー密度は発電所に比べ著しく低いため、普通の発電所の何千倍もの面積が必要。太陽や風のような不安定な供給源に頼るとすると、それを利用できない間エネルギーを得る別の手段を用意しなければならない。 エネルギー貯蔵の問題も重要だ。あらゆるタイプのバッテリーを検討したが、いま入手できるバッテリーをすべて集めてもエネルギーを10分間も供給できない
2011年04月17日18:15 カテゴリエネルギー 私は原発推進派か けさからツイッターで、やたらに「東電の手先」とか「いくら金もらってるんだ」とかいうコメントが来るので何事かと思ったら、勝間和代氏が謝罪したのでおまえも謝罪しろということらしい。でも申し訳ないけど、私は一度も「原発は絶対安全だ」とか「原発を推進しよう」とか言ったことないんだよ。 事故の翌日の記事で、私は「メディアの報道は蒸気の放出に集中していて、炉内の温度や圧力がコントロールできたのかどうかがよくわからない」と疑問を呈している。このときNHKで東大の関村直人教授は「原子炉は安定しており、まったく問題ない」と繰り返していたが、私は「炉内の圧力が上がっているのは原子炉を制御できていないことを示す」ので、それは疑問だと書いた。結果はいうまでもなく、関村氏が間違っていた。 3月17日のニューズウィークでは「福島第一原発はチェルノ
原発担当相に細野豪志首相補佐官が起用されることになった。彼には「アゴラ」や私のブログをお読みいただいているようなので、あらためて原発をめぐるアジェンダ設定についてまとめておきたい。 まず重要なのは、政府が「脱原発か原発推進か」という不毛な論争に巻き込まれないことだ。原子力は発電形態の一つにすぎず、電力はエネルギーの一種である。したがって、まずエネルギー政策をどうするかという戦略を考え、それにもとづいて電力の供給体制という戦術を考え、そのオプションの一つとして原子力がある。この順序を間違えて、原子力か否かという論争にはまり込むと収拾がつかなくなる。 今回の計画停電で露呈した第一の問題は、電力に過剰に依存した社会は脆弱だということだろう。化石燃料を電力に変換すると効率が落ちるので、オール電化ハウスとか電気自動車などの非効率的な技術を政府が補助することはやめたほうがよい。また計画停電のような統制
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