【読売新聞】 参院選を巡り、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などのインターネット空間で匿名のユーザーによる過激な中傷が飛び交っている。投開票が21日に迫る中、冷静な政策論議はかすみがちだ。民間では、情勢を左右しかねな
小池都政の改革に期待したい。それ以上に、自民党の安倍政権の 驕 ( おご ) りと緩みに反省を求める。それが、首都の有権者が示した意思と言えよう。 東京都議選は、小池百合子知事が代表を務める初陣の地域政党「都民ファーストの会」が躍進し、自民党に代わって第1党の座を確保した。 公明党、無所属などと合わせた小池氏支持勢力の議席の合計は、半数を大きく上回った。小池氏は、都政運営を進める安定的な基盤を築くことに成功した。 ◆公明と二人三脚が奏功 自民党は、歴史的な惨敗を喫した。長年、緊密に連携してきた公明党と 袂 ( たもと ) を分かった影響に加え、国政の加計学園問題に関する政府の不十分な説明や、稲田防衛相らの失言が響いた。 知事が地域政党の先頭に立つ選挙戦は都民の関心を集め、投票率は51・27%と前回を上回った。 都民ファーストの原動力は、小池氏個人の高い人気だ。公明党との選挙協力も功を奏し、
安倍首相は1日、第190通常国会の閉会を受けて首相官邸で記者会見し、2017年4月の消費税率10%への引き上げを19年10月まで2年半延期する意向を正式に表明した。 14年衆院選の公約違反であることを認めた上で、参院選で国民の信を問う考えを示した。与党の獲得議席の勝敗ラインを改選定数(121)の過半数である61議席と位置づけた。参院選と次期衆院選を同じ日に行う「衆参同日選」を見送り、参院選を「6月22日公示―7月10日投開票」の日程で実施すると発表した。 首相は14年11月の衆院解散時にも、15年10月に予定していた消費税率10%への引き上げの延期を表明している。再び延期することについて、「これまでの約束とは異なり、公約違反ではないかという批判を 真摯 ( しんし ) に受け止めている。新しい判断について、国政選挙である参院選を通じて国民の判断を問いたい」と述べた。
参院1票の格差 選挙無効判決は乱暴に過ぎる(11月29日付・読売社説) 国会の裁量権に踏み込んだ独りよがりの判決と言わざるを得ない。 「1票の格差」が最大4・77倍だった7月の参院選について、広島高裁岡山支部は「違憲」と判断し、岡山選挙区の結果を「無効」とする判決を言い渡した。 参院選を無効とした司法判断は初めてである。 岡山支部は、3月にも衆院選の「1票の格差」訴訟で「無効」判決を出している。同じ裁判長による今回の判決にも、政治や国会への理解不足が目立つ。 判決は、投票価値の平等を憲法上の「最も基本的な要請」と断じ、格差是正を最優先すべきだとの見解を示した。 しかし、昨年12月の衆院小選挙区選を「違憲状態」とした20日の最高裁判決は、「投票価値の平等は選挙制度を決める絶対の基準ではない」と指摘した。 選挙区選は行政区画を基にしており、地理的状況や交通事情にも配慮する必要性を認めたものだ。
ネット選挙解禁 功罪を検証し政治に生かせ(8月4日付・読売社説) 7月の参院選で解禁されたインターネット利用の選挙運動は、どんな功罪があったのか。各政党はその点を十分検証し、国民の政治参加のあり方を考えてもらいたい。 参院選で、各政党や候補者はホームページやブログを通じ、公約やプロフィル、遊説写真、動画などの情報発信に力を入れた。 発信者と受け手の双方向性を持つソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)では、自民党が主にフェイスブック、公明党はLINE(ライン)、共産党はツイッターなどをそれぞれ駆使した運動を展開した。 選挙中に有権者が得られる情報量は、格段に増加した。 ただし、その効果は、限定的であったと言えよう。 投開票日の読売新聞の出口調査では、ネット情報を参考にしたと答えた人は、わずか11%だった。20歳代でも24%にとどまった。 全体の投票率も低下した。 有権者とくに若者の
13参院選 あす投票 参院の意義と役割も考えたい(7月20日付・読売社説) 第23回参院選は、あす21日に投開票される。 参院には本来「良識の府」として、衆院に対する抑制や補完の役割が期待されている。 だが、近年、とくに衆参ねじれ国会の下で、与野党が激しく対立し、参院は政治を停滞、混乱させる「政局の府」と化してきた。 選挙戦で、参院の在り方についての議論がほとんど聞かれないのはどうしたことか。仮に、自公両党が参院で過半数を制し、ねじれを解消できたとしても、衆院とほぼ対等の権限を持つ「強すぎる参院」の問題は残る。 民主党の輿石参院議員会長はNHKの討論番組で、ねじれについて「決められない政治の元凶というが、(それにより)かろうじて政治に緊張感が保てているのも事実だ」と、“効用”を説いた。 しかし、2008年の通常国会で輿石氏が主導して日銀総裁人事を葬ったような政争まで「緊張感」と言えるのだろ
13参院選 規制改革 成長促す緩和策を見極めよう(7月18日付・読売社説) 新しい産業を育て、経済を成長軌道に乗せるには、過剰な規制を取り払う必要がある。 現実的で実効性ある規制改革を掲げる政党を、しっかりと見極めたい。 安倍政権は、規制改革を成長戦略の「一丁目一番地」に位置付けて参院選に臨んだ。 重要な論点の一つは、雇用に関する規制の見直しである。 多くの企業が不採算部門に余剰人員を抱えている。それが企業業績を圧迫し、経済の停滞を招いている一因との指摘は多い。 その対策として、政府は、職務や勤務地、労働時間を限定する代わりに、解雇の規制を緩める「限定正社員」を制度化することを検討中だ。首相もこの制度導入に意欲を示している。 企業にとっては、役割を終えた事業所の閉鎖や職種廃止がしやすくなる。労働者側は、雇用不安はぬぐえないものの、非正規社員に比べると雇用は安定するというメリットもある。 雇
13参院選 農業政策 競争力向上へ具体策が必要だ(7月16日付・読売社説) 一層の貿易自由化に備え、日本農業の再生が急務だ。いかに衰退に歯止めをかけ、国際競争力を高めるのか。参院選の重要な論点である。 ところが、各党とも、成長産業としての「強い農業」の実現に向けた議論より、農村票を意識したバラマキ政策の主張が目立つ。そろって補助金の拡大を訴えていることが象徴的だ。 自民党は、民主党政権が導入した戸別所得補償制度を改め、「直接支払い制度」の創設を主張している。水田だけでなく、畑や果樹園も含む農地全般を対象にする。公明党も支援拡充を唱えた。 民主党は、現在の制度を維持したうえで、補償対象を畜産、酪農業者にも広げる方針だ。共産党や生活の党、社民党なども、所得補償制度を主張している。 農業従事者の平均年齢は約66歳だ。高齢化が進み、後継者不足は深刻である。農業所得も20年前からほぼ半減した。農家の
13参院選 教育政策 人材育成への具体策を競え(7月12日付・読売社説) 優れた人材をどのように育成するのか。日本の将来を左右する重要なテーマである。参院選では各党の教育政策をしっかりと見極めたい。 昨年末に発足した安倍政権は、教育再生を経済再生と並ぶ重点課題に位置づけてきた。首相直属の教育再生実行会議は、いじめ対策や教育委員会改革など、3次にわたる提言をまとめた。 民主党政権下で抽出方式に縮小された全国学力テストを再度、全員参加方式に戻した。学校週5日制を見直し、自治体の判断で土曜日に授業を行いやすくするよう省令を改正する方針も示した。 政権交代後、半年間で推進した政策の是非が、参院選ではまず、問われることになるだろう。 自民党は参院選の公約の柱として、「世界で勝てる人材の育成」を掲げ、英語教育の強化や理数教育の充実をうたっている。 国際社会で活躍したり、新たな科学技術を創造したりする力
熱中症予防 過度に節電せず冷房の活用を(7月11日付・読売社説) 日本列島は連日、猛暑に見舞われている。 熱中症に十分注意し、夏を乗り切りたい。 10日も各地で最高気温が35度以上の猛暑日となった。山梨県甲州市では、今年になって全国で最も高い39・2度を記録した。今月に入り、熱中症で病院に搬送される人が相次ぎ、死者も出ている。 連日の猛暑は、太平洋高気圧と、中国大陸から押し出されたチベット高気圧が日本上空で重なる「ダブル高気圧」が原因だ。この暑さは今週末まで続くという。 気象庁は、この夏の気温は全国的に平年より高めになると予想している。ダブル高気圧が去っても、警戒は怠れない。 熱中症は、高温多湿の状態で、体温の調節機能が働かなくなって起きる。吐き気、だるさが表れ、重症になると意識が薄れる。 猛暑日が多かった2010年には1700人余が死亡した。 熱中症の予防で重要なのは、水分と塩分をこまめ
13参院選 社会保障 負担増の論議は避けられない(7月10日付・読売社説) 少子高齢化が急速に進む中、年金、医療、介護などの社会保障費は増え続けている。 持続可能な社会保障制度をどう築いていくか。参院選の重要な争点である。 自民党が、価格の安い後発医薬品の使用拡大や、複数の医療機関での重複診療抑制を打ち出したのは、危機感の表れと言えよう。 だが、自民を含め、各党の公約を見ると、国民に負担増を求めることには及び腰だ。 例えば、高齢者医療の自己負担率を引き上げる問題である。 健康保険法などは70~74歳の医療費の窓口負担を2割と定めている。それにもかかわらず、2008年以降、歴代政権は特例措置として1割に抑えてきた。高齢者の反発を恐れてのことだろう。 公費の支出削減のため、法定の2割への引き上げは必要だ。 しかし、この問題について、自民、公明、民主各党は公約で言及していない。共産、社民両党は引
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