環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で、米国が日本車にかけている輸入関税の撤廃が、協定発効から20年程度先となる公算が大きくなった。 日本は5~10年での撤廃を求めていたが、「TPP交渉の(中の)最も長い期間で撤廃」するという日米合意を基に、米国が歩み寄りの姿勢を見せていないためだ。 米国の日本車に対する関税は、乗用車が2・5%、トラックが25%。関税撤廃まで20年かかれば、米市場で日本車が長期間、不利な競争を強いられるだけでなく、欧州連合(EU)など他の国・地域との通商交渉でも同様の厳しい条件を要求される懸念がある。 日本のTPP参加を認めるための日米間の事前協議で、両国は4月に合意文書を締結。米国の自動車関税については、「TPP交渉で認められる最も長い段階的な引き下げ期間で撤廃し、最大限、後ずれさせる」とし、米韓の自由貿易協定(FTA)に盛り込んだ撤廃時期(乗用車は5年)よりも長くすると
ワシントンで21日まで開かれた環太平洋経済連携協定(TPP)の首席交渉官会合は、年内の交渉妥結に向けて10月の閣僚・首脳会合のお膳立てをすることが目的だった。 しかし、かえって歩み寄りの難しさも浮き彫りになるなど、交渉の行方は予断を許さない。 ◆「政治決断」も 「この課題は明日までに解決を」「こちらは来週までに」。首席交渉官会合は初日の18日から、時にはわずか30分で一つの分野を終えるなど、精力的に議論を進めた。ただし対立が少ない分野から取り上げていったため、後半になるにつれて進行は遅れ、予定の分野をこなし切れない日が続いた。 例えば、難航分野の一つである「知的財産」を巡っては、特許権などの保護を強化したい米国と、新しい技術を安く導入したい新興国の対立は根深いままだ。交渉官の間では、年内の妥結を優先するなら交渉の範囲を見直し、確実に合意できるものに限るよう各国の首脳・閣僚に政治決断を求めざ
TPP交渉 米国のペースに惑わされるな(8月23日付・読売社説) 日本にとっては初めての本格交渉だ。いかに存在感を発揮し、交渉を有利に進めるか。攻めの姿勢が問われよう。 日米、豪州、カナダなど12か国による環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合が、ブルネイで始まった。23日に閣僚声明を出し、年内妥結を目標に交渉の加速を確認する予定だ。 これをもとに、月末まで事務レベルで交渉が行われる。 閣僚会合の議長を務めるフロマン米通商代表は、「年内妥結はオバマ大統領の最優先事項だ」と強調する。大統領はTPPをテコに輸出を拡大し、雇用を増やすことを目標に掲げている。 米国は、ブルネイで年内妥結の方針を他国と再確認し、10月の大筋合意へ交渉に弾みをつけたい考えだろう。 それでは、7月の前回交渉の後半部分からようやく協議に参加した日本は、十分な交渉時間を確保できなくなる恐れもある。 米国ペースで早期に
茂木経済産業相は18日、フローマン米通商代表部(USTR)代表と会談し、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の年内妥結に向けて日米の連携を強化する考えで一致した。 フローマン氏の訪日は6月の代表就任後初めてで、19日には甘利TPP相と会談する。ブルネイで22、23日に開かれるTPP閣僚会合を前に日米の連携を確認し、年内妥結に向けた地ならしを進める考えだ。 18日の会談冒頭、茂木氏は「日米で自由貿易の推進、連携を深めたい」と述べ、フローマン氏は「多くの課題での協議を期待する」などと応じた。約30分間の会談後、茂木氏は記者団に「年内妥結に向けて日本も建設的、積極的に取り組むと話した」と述べた。
TPP交渉参加 攻守両にらみ戦略で挽回せよ(7月26日付・読売社説) 日本がようやく、米国など11か国が進める環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加した。 安倍首相は、「交渉力を駆使し、守るべきものは守り、攻めるべきものは攻め、国益にかなう最善の道を追求する」と強調している。 政府は、出遅れ挽回へ、攻守両にらみの戦略を強化すべきだ。 TPP交渉会合がマレーシアで開かれ、日本は12番目のメンバーとして2日半だけ合流した。 関税撤廃、知的財産権、投資など29章に及ぶTPP交渉をまとめた文書が、初めて日本に開示された。全体像を把握できるようになった意味は大きい。 次回会合は8月末にブルネイで開かれ、日米協議も8月以降、並行して行われる。政府は各国の主張を分析し、加速する交渉への対応を急がねばならない。 米国などは、10月の基本合意と年内妥結を目標に掲げている。マレーシアの代表も25日の記者会見
【コタキナバル(マレーシア東部)=辻本貴啓】日本が初参加した環太平洋経済連携協定(TPP)の第18回交渉会合が25日、閉幕した。 交渉の中で、世界的な製薬会社を抱える米国が新薬の特許期間を延長するよう要求していることが現地の交渉関係筋の話で分かった。これに対し、マレーシアなどの新興国が強く反発しているほか、医療費を抑制するため、安価な後発薬の普及を進めている日本も慎重な立場で、今後の交渉の焦点の一つになりそうだ。次回会合は8月22日~30日にブルネイで開かれる。 日本は、新薬(先発薬)の特許期間を最長25年に設定している。関係筋によると、米国はTPP参加に先立つ日米事前協議で特許期間を数年程度、延ばすよう求めていたが、「同様の要求を日本以外の参加国にもすでに行っている」という。 米国の要求の背景には、米製薬業界の「特許期間が短いと企業の新薬開発意欲がなくなり、結果的に悪影響が出る」との主張
【コタキナバル(マレーシア東部)=辻本貴啓】環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で、関税分野の協議がほとんど進んでいないことがわかった。 交渉文書を分析した複数の関係者が明らかにした。コメや砂糖、乳製品などの関税を維持したい日本にとって、最後発で参加した交渉での出遅れを取り戻す余地を示すともいえる。 TPP協定は全29章で構成されている。関税交渉についての文書は、今後の議論の日程や進め方などの記載にとどまり、協議が進んでいないという。 日本がコメなどを重要5項目と位置付けているのに対し、米国は砂糖を、カナダは酪農製品を守る意向を示している。また、米国は自動車にかけている関税もできる限り維持したいなど、参加国が抱える国内事情が協議の遅れにつながっているとみられる。
【ワシントン=岡田章裕】米通商代表部(USTR)のフローマン代表は18日、オバマ政権の通商政策について下院歳入委員会で証言した。 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への日本の参加問題を巡り、「(まとまった交渉文書の)再交渉も、蒸し返すことも日本に認めない」と述べ、日本が23日に正式参加しても交渉を遅らせない考えを強調した。年内に妥結するという目標も、「野心的だが、実現可能だ」と堅持する姿勢を示した。 議会内では日本が強力な金融緩和策により円安へと誘導し、自動車産業などで輸出が有利になっていることで米国の産業が不利益を被っているとの批判が高まっている。このため、自国通貨安へと誘導することを禁じる条項をTPPに盛り込むべきだという声が広がっている。フローマン代表は、「通貨問題の懸念を議会と共有している」と述べたが踏み込んだ評価は避けた。
13参院選 農業政策 競争力向上へ具体策が必要だ(7月16日付・読売社説) 一層の貿易自由化に備え、日本農業の再生が急務だ。いかに衰退に歯止めをかけ、国際競争力を高めるのか。参院選の重要な論点である。 ところが、各党とも、成長産業としての「強い農業」の実現に向けた議論より、農村票を意識したバラマキ政策の主張が目立つ。そろって補助金の拡大を訴えていることが象徴的だ。 自民党は、民主党政権が導入した戸別所得補償制度を改め、「直接支払い制度」の創設を主張している。水田だけでなく、畑や果樹園も含む農地全般を対象にする。公明党も支援拡充を唱えた。 民主党は、現在の制度を維持したうえで、補償対象を畜産、酪農業者にも広げる方針だ。共産党や生活の党、社民党なども、所得補償制度を主張している。 農業従事者の平均年齢は約66歳だ。高齢化が進み、後継者不足は深刻である。農業所得も20年前からほぼ半減した。農家の
TPP交渉 攻守にらんだ戦略で巻き返せ(5月26日付・読売社説) 出遅れていた日本が、いよいよ約2か月後に環太平洋経済連携協定(TPP)交渉のテーブルに着く見通しになった。 政府は、交渉体制を強化し、アジア・太平洋地域での新たな貿易ルール作りで巻き返しを図ることが求められよう。 米国など11か国がペルーで行っていたTPP交渉が24日終了した。次回は7月15~25日にマレーシアで開く日程を決めた。 日本はTPP交渉参加を4月に11か国から認められたが、米国議会の承認手続きが残り、ペルーでの交渉には出席できなかった。 7月23日ごろに米国の承認が得られるため、マレーシアでは最長で3日間参加の公算が大きい。 11か国は年内妥結を目指し、関税、サービス、知的財産権などで交渉を加速している。日本はマレーシアで初めて詳細な交渉内容や各国の主張を把握できる。 TPPの政府対策本部を中心に早急に状況を分析
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