4~6月期の実質国内総生産(GDP)速報は、前期比0・4%減、年率1・6%減となった。3四半期ぶりのマイナス成長だ。 個人消費と輸出の不振が、主な要因である。本格的な成長実現のカギとなる設備投資も、小幅ながら3期ぶりに減少した。景気は回復が足踏みする「踊り場」に入ったとする見方も出ている。 大切なのは、停滞を長引かせないことだ。政府・日銀はリスクを入念に点検し、景気失速の回避に万全を期さねばならない。 内需の柱の個人消費は、前期比0・8%減だった。マイナスは、消費税率引き上げの影響で急減した昨年4~6月期以来である。 甘利経済再生相は消費減少の原因として軽自動車税増税や天候不順を挙げ、「一時的な要素が大きい」との見方を示した。 ただ、円安による原材料高で食品などの値上げが続き、賃上げの恩恵は相殺されている。家計が節約志向を強めているのは確かだ。デフレで染みついた弱気から、脱し切れていない面
福島県漁業協同組合連合会が、東電の浄化水放出計画を容認した。 原発建屋脇の井戸「サブドレン」からくみ上げた地下水を浄化処理し、海に放出する計画だ。壊れた建屋に地下水が流入して生じる汚染水の量を抑制することが期待される。 風評被害を懸念する県漁連は、容認の前提条件として、厳格な水質管理や安全性に関する広報の強化など5項目を要望している。東電は真摯(しんし)に対応し、早期の放出を実現せねばならない。 水質管理について、東電は、飲料水の国際基準よりも厳しい目標を設ける方針だ。専用の処理システムによる水の浄化試験も実施している。データの公開と丁寧な説明で不安を解消したい。 福島第一原発の建屋に流入する地下水の量は当初、1日約400トンに達していた。 昨年5月以降、山側の別の井戸から汚染前の地下水をくみ上げ、海に放出している。これにより、流入量は約300トンに減った。 新たにサブドレンからのくみ上げ
企業が真剣に考えるべき課題である。 来春卒業予定の大学生を対象とした大企業の選考が、今月からスタートした。 経団連は2013年、企業説明会の開始を3年生の12月から3月に、入社試験の解禁を4年生の4月から8月に、それぞれ繰り下げることを決めた。今年は、このスケジュールによる初の就活だ。 就活を遅らせ、大学生が学業に専念できる期間を長く確保する狙いは妥当だろう。 問題は、大学関係者や学生から、期待した効果が出ていないどころか、就活の負担がかえって増したとの声が上がっていることだ。 経団連の取り決めは、あくまで「紳士協定」だ。解禁前から就業体験などの名目で学生を集め、事実上の採用に動く企業もある。 経団連に入っていない外資系や新興企業は、早い時期から内定を出し、学生を囲い込んでいる。 民間の調査によると、解禁前の7月までに内定を得た大学生は、約5割に達した。昨年は解禁前の3月の内定率がわずか5
橋内部の腐食が進み、積載量の大きい車両が通行止めになって工事が始まった。重さに耐えられず、崩落が懸念されるが、観光客の通行は多い(ワシントンのアーリントン記念橋で) 米国で道路や鉄道などインフラ(社会基盤)の老朽化が進み、橋の崩落や脱線事故などが相次ぐ「インフラ危機」が問題になっている。全米の老朽化したインフラを補修するには3兆6000億ドルが必要との試算もあるが、対策費を確保するための増税に政治家は消極的だ。 ■崩落の恐れ 首都ワシントンでポトマック川に架かる「アーリントン記念橋」。バージニア州とを結ぶ主要道路で、5月下旬から緊急工事が始まり、通行規制されている。米当局の調査で、橋の鉄骨の腐食が想定より速く、重さに耐えられず崩落する恐れがあることが判明した。 ペンシルベニア州ピッツバーグの「グリーンフィールド橋」は、大小二つの橋が重なる異様な姿だ。橋の下を通る道路にコンクリートが崩れ落ち
戦後日本が過去の誤った戦争への反省に立って再出発したことを、明確なメッセージとして打ち出さねばならない。 来週発表される戦後70年談話を巡って議論を重ねてきた21世紀構想懇談会が、安倍首相に報告書を提出した。 報告書は、戦前の失敗に学んだ戦後日本の国際協調の歩みを評価し、積極的平和主義を一層具現化していく必要性を指摘した。 その中で、日本が1931年の満州事変以後、大陸への「侵略」を拡大したと認定した。的を射た歴史認識と言える。 ◆「満州事変」が分岐点だ 一方で報告書は、「侵略」に脚注を付し、一部委員から異議が出たことも示した。国際法上「侵略」の定義が定まっていないこと、歴史的にも満州事変以後を「侵略」と断定するには異論があることなどが理由に挙げられた。 だが、歴史学者の間では、軍隊を送り込んで他国の領土や主権を侵害することが「侵略」だと定義されてきた。 その意味で、満州事変以後の行為は明
碧志摩メグのパネルを掲げる大口秀和・志摩市長(右)と、伊賀流忍者の萌えキャラを紹介する岡本栄・伊賀市長(今年4月、伊賀市役所で) 伊勢志摩サミットの会場に決まった三重県志摩市で、海女をモチーフにした市公認の萌(も)えキャラの賛否を巡り、波紋が広がっている。 「女性を蔑視するデザインだ」と主張する市民らは、市公認の撤回などを求めて署名運動を展開。13日には、現役海女ら約170人分の署名を市長と市議会議長に提出する予定になっている。 萌えキャラは、クール・ジャパン戦略として注目されている“萌え文化”を背景に、同市の観光や海女文化を国内外へPRしようと、四日市市のイベント企画会社「マウスビーチ」が制作。昨年11月に名前を公募し、約2000通の中から「碧志摩(あおしま)メグ」に決まった。 しかし、キャラクターの磯着姿は「前裾がはだけ、胸の形もわかる」と、市民の一部から批判する声が上がった。 反対署
エボラウイルスなどの危険な病原体を生きたまま取り扱う高度安全実験(BSL4)施設が、東京都武蔵村山市にある国立感染症研究所村山庁舎で、国内で初めて稼働することが決まった。 30年以上にわたり周辺住民の反対が続いてきたが、塩崎厚生労働相と藤野勝・同市長が3日午前に会談し、稼働に合意した。会談後、塩崎厚労相は感染症法に基づき、1週間前後で同庁舎をBSL4施設に指定すると表明した。 国内では、国が指定したBSL4施設以外でエボラウイルスなどの危険な病原体を扱うことが禁止されている。エボラ出血熱が疑われる患者が発生しても、ウイルスを死滅させ、感染の有無を確認する検査しかできなかった。今後はウイルスを生きたまま解析し、種類や感染経路を特定したり、ワクチンの開発につなげたりすることが可能になる。
安全保障関連法案は、法的安定性や、過去の政府見解との論理的整合性を十分に確保している。政府は、この点を繰り返し丁寧に説明し、国民の理解を広げねばならない。 参院特別委員会の法案審議が本格化してきた。民主党は、礒崎陽輔首相補佐官の「法的安定性は関係ない」との発言を問題視し、礒崎氏の更迭などを求めている。 礒崎氏の発言は、集団的自衛権の行使の限定容認について説明する中で出たものだ。政府見解と相いれず、失言なのは間違いない。政府・与党幹部は、もっと緊張感を持つべきである。 安倍首相は、礒崎氏の発言は不適切だとの見解を示しつつ、「安全保障環境の変化を十分に踏まえる必要があるとの認識を示した」と一定の理解も示した。時代の要請に応じて、可能な範囲内で憲法解釈を見直すことは大切だ。 北朝鮮は、日本を射程に収める数百発の弾道ミサイルを配備し、核開発を進める。中国も、東シナ海で領海侵入やガス田施設建設、南シ
【ブリュッセル=三好益史】2020年東京五輪の大会エンブレムに採用されたデザインが、ベルギー東部リエージュの劇場で使われているロゴマークに似ているとの指摘が出ている。 劇場のマークを手掛けたデザイナーのオリビエ・ドビさん(52)は29日、読売新聞の取材に応じ、「書体や構造がほぼ同じ。弁護士と相談している」と述べ、法的手段を含め今後の対応を検討していることを明らかにした。 指摘されているのは、リエージュ劇場で2013年から使われているマークで、「Liege(リエージュ)」と「Theatre(劇場)」の頭文字の「L」と「T」を重ね合わせたもの。 ドビさんのデザイン事務所は、公式フェイスブックで東京五輪のエンブレムとリエージュ劇場のマークを並べて掲載した。 東京五輪の大会エンブレムは、東京五輪・パラリンピック組織委員会が公募で選び、今月24日に発表した。 ◇ 大会組織委員会の広報担当者は「エンブ
安倍首相は30日の参院平和安全法制特別委員会で、将来的に徴兵制が導入される可能性があるとする野党の一部の主張について、「憲法18条が禁止する『意に反する苦役』に該当する。明らかな憲法違反で、たとえ首相や政権が変わっても徴兵制の導入はあり得ない」と改めて明確に否定した。 自民党の森雅子氏の質問に答えた。 首相は「自衛隊員の育成には長い時間と労力がかかり、短期間で隊員が入れ替わる徴兵制では精強な自衛隊が作れない」と強調。米国や英国などが志願制をとっていることを挙げ、「集団的自衛権の議論と徴兵制を結びつけることは、国際的に非常識だ」と説明した。安全保障関連法案に反対している民主党は、「徴兵制の復活」などとあおる党のパンフレットを作成している。
日本の名誉が不当に傷つけられている事態は、看過できない。事実誤認を的確に正すため、対外発信力を戦略的に強化することが急務である。 自民党が、慰安婦問題をめぐる海外の誤解を解消し、日本の名誉と信頼を回復するための提言を安倍首相に提出した。 いわれなき批判に対し、政府が様々なチャンネルを通じて、関係者に正確な情報を提供し、積極的に反論するよう求めている。 首相は「提言をしっかり受け止める」と述べた。提言内容を今後の政府の施策に迅速かつ適切に反映させねばならない。 ある米国の高校教科書は慰安婦に関し、「日本軍が最大20万人にも及ぶ14歳から20歳の女性を徴用した」と記している。日本政府が抗議したが、誇大な数字や不正確な記述は是正されていない。 米国議会などの慰安婦批判決議には、「性奴隷」という歪曲(わいきょく)した表現が頻繁に使われている。 このままでは、誤った認識が拡散し、既成事実化しかねない
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