政府は、重要な歴史公文書を所蔵し、展示・解説している国立公文書館の機能を拡充するため、新館を建設する方針を固めた。 場所や機能を具体的に検討するため、2014年度予算の概算要求に調査費を盛り込み、認められれば17年度までの開館を目指す。 国立公文書館は、明治政府の基本方針を示した「五箇条の御誓文」や明治憲法、日本国憲法の原本などの貴重な文書を含む公文書を所蔵している。日常業務で作成される公文書も収容の対象で、年々文書が増えている。 内閣府によると、公文書館の書架は総延長72キロに及ぶが、それでも米国立公文書館で使用中の書架の20分の1程度。しかも、昨年3月末時点で既に書架の約8割が埋まっており、16年度には書架がいっぱいになる見込みだ。新館の候補地には、国会周辺の敷地などが挙がっている。
米金融緩和策 縮小へ問われる「市場との対話」(8月2日付・読売社説) 米連邦準備制度理事会(FRB)が、異例の量的緩和策第3弾(QE3)を縮小する「出口戦略」の時期を巡り、模索を続けている。 混乱を招くことなく、9月にも踏み出せるのかどうか。難しい舵(かじ)取りを迫られよう。 FRBは、連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、米国債などを毎月850億ドル(約8・3兆円)買い入れているQE3と、ゼロ金利政策の維持を決めた。 バーナンキFRB議長は6月、景気回復が想定通りならば、「年後半に資産購入ペースを縮小し、来年半ばに終了する」という出口の道筋を明らかにしていた。 今回注目されたのは、さらに踏み込んだ方針だったが、FOMC声明は言及せず、「購入ペースを増減する準備ができている」と指摘するにとどまった。米国の景気認識はやや下方修正した。 議長は最近、9月にQE3を縮小するとの観測が台頭している
大阪誤認逮捕 ずさんな捜査に驚かされる(8月2日付・読売社説) ずさん極まりない捜査と言うほかない。警察と検察には、猛省と徹底検証を求めたい。 堺市のガソリンスタンド(GS)で1月に起きた窃盗事件で、大阪地検堺支部は男性会社員の起訴を取り消し、男性に謝罪した。大阪府警も誤認逮捕だったことを認めた。 男性は、事件と無関係だったのに、85日間も勾留され、休職を余儀なくされた。取り調べの際には、捜査員から何度も呼び捨てにされ、「あなたは普通じゃないんですよ」などと侮辱もされた。重大な人権侵害である。 誤認逮捕の最大の原因は、男性を犯人と決めつけた見込み捜査に尽きると言っていい。 駐車中の車から盗まれたカードが、GSで使われていた。府警が防犯カメラを調べたところ、ガソリンが販売された時刻に男性の姿が映っていた。府警はこの画像を逮捕の決め手とした。 ところが、弁護人の調査で、防犯カメラの時刻がずれて
さいたま市のJR南浦和駅で22日、乗客の女性が電車とホームの隙間に転落して救出されるまでの約8分間の様子がJR東日本大宮支社などへの取材で明らかになった。 女性を引っ張り上げるため、車両を押し始めた駅員に、周囲にいた客らが協力の手を差し伸べた。 同支社などによると、転落したのは埼玉県西部に住む30代の女性。22日午前9時15分頃、京浜東北線の大宮発磯子行き普通電車の4両目から降りようとした際、足を踏み外し、右足が電車とホームの間の約10センチの隙間に入った。ホームにはい上がろうとしたが、左足も落ち、へその辺りまで隙間に入ってしまった。 転落に気付いた客がホームに設置された「列車非常停止ボタン」を押し、駅事務室から16人の駅員が駆けつけた。2人の駅員が女性を引っ張り出そうとしたが、うまくいかず、別の駅員がとっさに車両を両手で押したところ、周囲の乗客や別の駅員も一緒に押し始めた。その数は約40
TPP交渉参加 攻守両にらみ戦略で挽回せよ(7月26日付・読売社説) 日本がようやく、米国など11か国が進める環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加した。 安倍首相は、「交渉力を駆使し、守るべきものは守り、攻めるべきものは攻め、国益にかなう最善の道を追求する」と強調している。 政府は、出遅れ挽回へ、攻守両にらみの戦略を強化すべきだ。 TPP交渉会合がマレーシアで開かれ、日本は12番目のメンバーとして2日半だけ合流した。 関税撤廃、知的財産権、投資など29章に及ぶTPP交渉をまとめた文書が、初めて日本に開示された。全体像を把握できるようになった意味は大きい。 次回会合は8月末にブルネイで開かれ、日米協議も8月以降、並行して行われる。政府は各国の主張を分析し、加速する交渉への対応を急がねばならない。 米国などは、10月の基本合意と年内妥結を目標に掲げている。マレーシアの代表も25日の記者会見
海江田民主党 政策と体質を改革して出直せ(7月24日付・読売社説) 党再生の道は極めて厳しい。政策を磨き、党の体質を抜本的に改革して出直すしかない。 参院選で惨敗した民主党の細野幹事長が引責辞任を表明し、了承された。再建への道筋をつけ、8月末に退く。 海江田代表は続投を表明し、執行部内で異論は出ていない。 党の現状に対する危機感があまりに薄すぎないか。トップが失敗の責任を取らない党の体質を改めて露呈している。指導力や発信力に乏しい海江田氏の下で、党再建が可能なのか、疑問である。 民主党は今回、改選44議席に対し、過去最低だった2001年の26議席を下回る17議席しか獲得できなかった。1人区は全敗し、複数区も東京、大阪、埼玉などで議席を失うなど、凋落(ちょうらく)が激しい。 読売新聞の出口調査によると、無党派層の比例選の投票先として、民主党は、自民、みんな、日本維新の会、共産の各党に次ぐ5番
政府は、政府専用機「ボーイング747―400」2機を2018年度に退役させ、19年度に後継機2機を導入する方針を固めた。 複数の政府関係者が18日、明らかにした。8月末の2014年度概算要求に関連予算として数百億円を計上する。後継機は、搭乗可能な人数が747とほぼ同じで、燃費が良い「ボーイング777」が浮上している。 政府専用機は1991年に導入され、航空自衛隊が運用している。機体整備や搭乗員教育は日本航空に委託している。天皇陛下の外国ご訪問や首相の外遊に使用されているほか、今年1月のアルジェリア人質事件では、救出された邦人や犠牲者を日本へ運ぶためにも使われた。 政府が後継機の議論を開始したのは、日航が燃費の悪い747を2010年度中に退役させたためだ。 これまで財務省などを中心に「消費税率を引き上げて国民に負担を強いる時に新たな装備品購入の協議はできない」との声があり、議論は行ったものの
東大秋入学構想 問題提起は時期尚早だったか(7月18日付・読売社説) 東京大学が、海外で主流となっている秋入学への移行を当面、見送ることになった。 当初の構想から大幅に後退した。ただ、秋入学実現に向けた議論は、今後も続けるべきだろう。 従来の春入学・春卒業を前提にした国家試験などの日程が変わる見通しが立たない。春に合格してから秋に入学するまでの期間(ギャップターム)の活用法や、保護者の負担などについても、議論が深まらなかった。 東大の浜田純一学長は「社会の環境が整わない中で、入学時期だけを変えるのは無謀だと考えた」と、見送りの理由を語った。 他大学に同調する動きが広がらなかった。東大内部にさえ時期尚早との慎重論が少なくない。こうしたことも影響したようだ。 東大が秋入学構想を打ち出した背景には、現状のままでは、厳しさを増す国際的な大学間競争に取り残されてしまうという強い危機感があった。 東大
13参院選 農業政策 競争力向上へ具体策が必要だ(7月16日付・読売社説) 一層の貿易自由化に備え、日本農業の再生が急務だ。いかに衰退に歯止めをかけ、国際競争力を高めるのか。参院選の重要な論点である。 ところが、各党とも、成長産業としての「強い農業」の実現に向けた議論より、農村票を意識したバラマキ政策の主張が目立つ。そろって補助金の拡大を訴えていることが象徴的だ。 自民党は、民主党政権が導入した戸別所得補償制度を改め、「直接支払い制度」の創設を主張している。水田だけでなく、畑や果樹園も含む農地全般を対象にする。公明党も支援拡充を唱えた。 民主党は、現在の制度を維持したうえで、補償対象を畜産、酪農業者にも広げる方針だ。共産党や生活の党、社民党なども、所得補償制度を主張している。 農業従事者の平均年齢は約66歳だ。高齢化が進み、後継者不足は深刻である。農業所得も20年前からほぼ半減した。農家の
食品ロス削減 消費者の意識改める第一歩に(7月15日付・読売社説) まだ食べられるのに廃棄される「食品ロス」が増えている。企業と消費者、政府が連携し、削減に取り組みたい。 日本では年間1700万トンの食品廃棄物が発生し、このうち食品ロスは推計で500万~800万トンに上る。国内のコメの収穫量とほぼ同規模で、あまりにも巨大な損失である。 対策を検討してきた政府が主導し、食品メーカーや卸業者、コンビニ、スーパーなど約40社が加工食品の賞味期限に関する商慣行の見直しに着手することを決めた。削減に向けた第一歩と言える。 食品・流通業界には「3分の1ルール」と呼ぶ商慣行がある。製造日から賞味期限までの3分の1にあたる時期を小売店への納品期限とし、残り3分の2の期間を店頭での販売期間とする。 納品期限を過ぎた食品は、卸売業者からメーカーに返品され、ほとんどが廃棄されるため、食品ロスが増える要因となって
米機密漏洩事件 問われる情報管理のずさんさ(7月8日付・読売社説) ひとりの男が世界中を揺るがしている。 米国家安全保障局(NSA)が違法な通信情報収集をしていると告発したスノーデン容疑者のことだ。南米や欧州などの26か国に亡命申請し、2週間もモスクワの空港で待機している。 スノーデン氏は香港に滞在していた1か月前、NSAが、極秘に構築した監視・傍受システムを使って、電子メールやネット電話、動画サイトの情報を大量に収集していると英米紙に暴露した。 NSA職員ではなく、契約請負企業で働いていた民間人だが、個人のプライバシーが侵害されるのを見て、「良心が許さなかった」と、告発の動機を語っている。 NSAは、秘密のベールに包まれた情報機関だ。日本を含む世界各地に施設を保有している。 それにしても、民間人が機密情報をかくも容易に漏洩(ろうえい)できたことには驚くしかない。 米情報機関では、膨大な情
ネット選挙解禁 「違法」の境目をわかりやすく(7月3日付・読売社説) 何ができ、何ができないのか。選挙の公正さを確保するため、線引きを明示し、制度の周知徹底を急ぐ必要がある。 あす4日公示の参院選からインターネットを利用した選挙運動が解禁される。有権者、特に若者の選挙に対する関心が高まることを期待したい。 政党や候補者は、選挙期間中、ネット上に自らの主張をはじめ、演説会の日程、街頭演説の動画、写真などを掲載できる。情報の発信力が大幅に強化されよう。 有権者側も、各党、各候補者のホームページ(HP)を通じて、政策を比較できる。 ツイッター、フェイスブック、LINE(ライン)などソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)も利用可能だ。双方向のやりとりが容易になるなど利点は大きい。 参院選に備え、与野党は4月末、ネット利用のガイドライン(指針)を策定し、違法に当たる行動や表現の具体例を示し
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