インターネットのゲームやチャットに依存している中高生は全国で推計五十一万人に上ることが厚生労働省の調査で分かった。成長期の心や体への影響も心配だ。海外の例も踏まえ、対策を考えたい。 調査は、大井田隆・日本大学教授らの研究班が行った。ネットをやめたくてもコントロールできない状態を「ネット依存」とみて、欧米などで使われているネット依存の評価法を用いた。 全国の中学・高校二百六十四校の生徒十四万人に調査票への記入を依頼、約七割の約十万人が回答した。「ネットをやめようとするとイライラや不安を感じる」など八つの質問のうち、五つ以上当てはまると依存傾向が強いと判定、回答者の8・1%が当てはまった。全国の中高生数にならすと五十一万八千人が依存と推計した。 男女別では、女子が10%で男子の6%よりも高い。スマートフォンのLINE(ライン)でチャットやメールをよく使うためと分析。男子はバーチャル空間のオンラ
ネット選挙解禁 功罪を検証し政治に生かせ(8月4日付・読売社説) 7月の参院選で解禁されたインターネット利用の選挙運動は、どんな功罪があったのか。各政党はその点を十分検証し、国民の政治参加のあり方を考えてもらいたい。 参院選で、各政党や候補者はホームページやブログを通じ、公約やプロフィル、遊説写真、動画などの情報発信に力を入れた。 発信者と受け手の双方向性を持つソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)では、自民党が主にフェイスブック、公明党はLINE(ライン)、共産党はツイッターなどをそれぞれ駆使した運動を展開した。 選挙中に有権者が得られる情報量は、格段に増加した。 ただし、その効果は、限定的であったと言えよう。 投開票日の読売新聞の出口調査では、ネット情報を参考にしたと答えた人は、わずか11%だった。20歳代でも24%にとどまった。 全体の投票率も低下した。 有権者とくに若者の
個人の商品購入履歴など膨大な情報の集合体を指す「ビッグデータ」の取り扱いが大きな議論になってきた。 活用次第で社会に大きな利益を生むと期待されるビッグデータだが、最大の問題は、取り扱い方について確立された統一基準がないことだ。 対応を誤れば深刻なプライバシー侵害も懸念される中で、対策を保有企業などの良識に頼る現状は危うい。将来に禍根を残さないためにも、しっかりとしたルールづくりを急ぐべきだ。 データは国をまたいで行き来する時代である。国別の基準づくりにも限界がある。少なくとも、日米欧の先進国レベルでは、基本的な考え方を一致させておく必要があるだろう。 ビッグデータはパソコンやスマートフォン(高機能携帯電話)など、あらゆる電子機器から日々発信され、電子情報の倉庫ともいえるサーバーに蓄積されている。 ポイントカードの利用は代表例だ。カード発行時に得た個人情報と商品購入履歴を突き合わせることで、
ネット選挙解禁 「違法」の境目をわかりやすく(7月3日付・読売社説) 何ができ、何ができないのか。選挙の公正さを確保するため、線引きを明示し、制度の周知徹底を急ぐ必要がある。 あす4日公示の参院選からインターネットを利用した選挙運動が解禁される。有権者、特に若者の選挙に対する関心が高まることを期待したい。 政党や候補者は、選挙期間中、ネット上に自らの主張をはじめ、演説会の日程、街頭演説の動画、写真などを掲載できる。情報の発信力が大幅に強化されよう。 有権者側も、各党、各候補者のホームページ(HP)を通じて、政策を比較できる。 ツイッター、フェイスブック、LINE(ライン)などソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)も利用可能だ。双方向のやりとりが容易になるなど利点は大きい。 参院選に備え、与野党は4月末、ネット利用のガイドライン(指針)を策定し、違法に当たる行動や表現の具体例を示し
ネット選挙へ 「悪意」の発信をどう防ぐか(4月19日付・読売社説) 日本でもようやくインターネットを利用した選挙運動が解禁される。若者に政治参加を促す効果が期待できよう。 公職選挙法改正案が参院の特別委員会で全会一致で可決された。きょう成立し、夏の参院選から適用される。 法案は、ホームページやブログのほか、ツイッター、フェイスブックなどによる公示・告示後の選挙運動を可能にする。 多くの先進国がネット選挙を認めている。2008年米大統領選で、オバマ氏は情報発信や有権者との対話に駆使して若者に支持され、「選挙革命」と呼ばれた。 日本は、周回遅れではあるが、有権者に適切な判断材料を提供し、投票率を向上させる手段として新制度を活用すべきである。 政党や候補者は、従来のように選挙カーで名前を連呼し、ビラを配るだけでは済まされない。短時間の街頭演説では伝えにくい経済や安全保障政策についてもネットで丁寧
ネット選挙 早期解禁へ弊害抑止の議論を(2月6日付・読売社説) 選挙にインターネットの利便性を生かす一方、弊害は最小限にとどめなければならない。選挙の公正さが損なわれないように、周到な仕組みづくりが欠かせない。 自民党が、夏の参院選でのネットによる選挙運動解禁を目指し、公職選挙法改正案をまとめた。 政党や候補者のホームページの更新に限らず、電子メールの送信を可能とする。ブログや簡易投稿サイト「ツイッター」、会員制交流サイト「フェイスブック」も利用できるようになる。 民主党、日本維新の会、みんなの党なども、早期のネット解禁に前向きで、近く与野党協議を開始する。選挙でのネット利用を想定していない公選法の旧態依然とした規定を見直すことは、時代の要請と言えよう。 政党や候補者は、ネットを活用して、幅広い有権者層に手軽に政策を伝えることが可能となる。候補者が自分に不利な情報を流された場合、速やかに反
中国紙記者スト 言論は統制強化で抑え込めぬ(1月13日付・読売社説) 中国メディアに対する統制を強化する習近平政権の姿勢が鮮明になったといえよう。 腐敗追及などの調査報道で人気のある中国広東省の週刊紙「南方週末」の新年社説が、お目付け役である省共産党委員会宣伝部の指示で書き換えられ、これに抗議する記者たちがストを起こした。 南方週末の経営陣と記者側が省党委員会の調停で事態収拾へ協議した結果、記者たちはストを中止し、経営陣は記者の責任を問わないことで決着した。民主化運動の拡大を警戒する習政権がひとまず譲歩したとみてよい。 だが事件後、党中央宣伝部は、メディアが政府に公然と対抗すれば「必ず敗れる」と警告する党機関紙・人民日報系紙の社説を転載するよう各新聞社に指示した。 一党独裁を維持していく上で、むしろ言論統制は強める必要があると考えているからだろう。 今回、当局が検閲で問題視したのは、「中国
衆院選あす投票 ネット利用が課題として残る(12月15日付・読売社説) 日本の針路を決める重要な選挙だ。各党の政策をきちんと吟味し、あすの投票日に臨みたい。 今回の衆院選では、12もの政党が競う混戦となった反面、有権者側の熱気は今ひとつのように見える。 読売新聞社が公示後に実施した全国世論調査によると、衆院選に「関心がある」と回答した人は82%で、前回の2009年衆院選に比べて10ポイント低い。 期日前投票も、前回よりは総じて低調という。 その理由として、政治の混迷が続き、政治不信が深まっていることが挙げられるだろう。 既成政党を批判する新党も、民主党離党組らが生き残るための選挙互助会の色彩が濃く、政策はいかにも急ごしらえだ。不満の受け皿として十分とは言い難い。 政治のあり方を変えるには各党の政策に耳を傾けて、投票権を行使するのが基本である。 懸念されるのは、20代の投票率が、常に他の年代
携帯ゲーム規制 健全性を重視したビジネスに(5月29日付・読売社説) 子供の心理につけこんだり、射幸心や虚栄心をあおったりして利益を上げるビジネスモデルは、やはりおかしい。 消費者庁は、携帯電話で遊ぶ「コンプガチャ」と呼ばれるゲーム商法を、7月から、景品表示法で禁止することを決めた。妥当な措置である。 コンプガチャは、おもちゃのカプセルを売る機械「ガチャガチャ」とコンプリート(そろえる)という単語を合わせた呼び名で、携帯電話を通じて利用者が集う「ソーシャルゲーム」の中で行われるくじのようなものだ。 ゲームの中で1回300円ほどのくじを引き、当たったアイテム(品物)が一定の組み合わせでそろうと、価値の高いアイテムがもらえる。ゲームを有利に進められ、利用者仲間の羨望も集まる。 アイテムは利用者間でやり取りできるため、高値で売って儲(もう)けることも可能だ。 ソーシャルゲームは、優越感や達成感、
児童ポルノ 適正で効果的なネット遮断を(5月16日付・読売社説) インターネット上の児童ポルノ掲載サイトをネット接続事業者が強制的に遮断する「ブロッキング」がスタートした。 一定の条件下であれば「児童ポルノのブロッキングは、現行法の下で実施可能」と、政府の犯罪対策閣僚会議が結論づけたのを受けての措置である。 児童ポルノの拡散を効果的に防ぐブロッキングは、欧米でも実施されている。子供の被害防止や公共の福祉の観点に立てば、ネット上の児童ポルノ画像の遮断は当然、認められるべきだ。 ネット上には、子供の性的虐待の場面など悪質な画像が氾濫している。児童買春・児童ポルノ禁止法は、児童ポルノの有償無償の提供などを禁止しているが、摘発されるのはごく一部に過ぎない。 ブロッキングを実施するため、有識者やネット接続事業者らで構成する民間団体、児童ポルノ流通防止対策専門委員会が設立された。政府関係者もオブザーバ
ソニー情報流出 ハッカー対策の甘さ突かれた(5月5日付・読売社説) ソニーのゲームなどのインターネット配信ネットワークにハッカーが侵入し、世界で合計約1億人の個人情報が漏れた疑いがでている。 過去最悪の情報流出事件に発展する可能性がある。ソニーは米連邦捜査局(FBI)に捜査を依頼したが、ハッカー侵入の経緯を自ら解明し、再発防止策を徹底しなければならない。 ハッカーにサイバー攻撃されたのは、ゲームをダウンロードして遊べる家庭用ゲーム機「プレイステーション」向けと、映画・音楽を配信する「キュリオシティ」のネットワークだ。 ほかに、別のゲーム子会社からも個人情報が漏れたようだ。 ソニーは侵入に対する防御策を講じていたと説明したが、弱点を突かれた。結果的に、防御体制が甘かったと言えよう。 利用者は北米を中心に約60か国・地域にも及ぶ。氏名、住所、メールアドレスのほか、ネット配信の利用に必要なパスワ
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