長年の研究開発の苦労が実り、新製品が大ヒット、わが世の春を謳歌(おうか)する企業があった。ところが、その製品に重大な欠陥が見つかってしまう。消費者にそっぽを向かれ、業績は悪化するばかりだ。 ▼その企業には、もうひとつの悩みがある。3人のかつての経営者の存在だ。直属の部下を連れて飛び出したAさんは、別の会社を立ち上げた。といってもかつての「剛腕」のイメージは失われ、経営は苦しそうだ。社長時代から常識はずれの言動が多かったBさんは、今もマスコミの格好の標的となって、会社の信用低下に一役買っている。今も会社に籍を置くCさんは、現経営陣の方針に逆らって、やりたい放題だ。 ▼民主党をモデルに、こんな筋書きの経済小説が書けるかもしれない。A、B、Cが、小沢一郎、鳩山由紀夫、菅直人の3氏であることはいうまでもない。とりわけ参院選で喫した大敗について、菅元首相の責任は重いといえるのではないか。 ▼東京選挙
自民党の参院選圧勝で、憲法改正のまたとない好機を迎えた。 昨年末の衆院選に続き国民の強い支持を得た安倍晋三政権は、次の国政選挙まで最大3年間、着実にこの重要な国家的課題に取り組み前進させてほしい。首相はまず、その行程表ともいえる具体的なスケジュールを示すべきだ。 参院選で、自民党、日本維新の会、みんなの党などの改憲勢力は144議席を占めた。改正の発議に必要な参院の「3分の2」(162議席)には達しなかったが、連立を組む「加憲」の公明党を加えれば164議席となり、発議ラインを上回る。衆院はすでに改憲勢力が4分の3以上を占める。 ≪3つの宿題は秋に≫ 安倍首相は参院選後の記者会見で、憲法改正について「腰を落ち着けてじっくり進めていきたい」と述べた。石破茂幹事長も自民党の憲法改正草案について「対話集会を開いていく」と話した。 憲法改正案の是非を決するのは国民投票であり、まずその制度を機能させるこ
■憲法改正こそ国の立て直しだ 安倍晋三政権が経済再生に最優先で取り組み、成果を挙げつつあることが、自民党の全勝につながったといえる。 参院選の前哨戦となる東京都議選で、自民党は4年ぶりに第一党に復帰し、やはり全勝した公明党と合わせて過半数を得た。 首相が進めるアベノミクスは、個人消費の伸びや輸出増をもたらし、日本経済を上昇気流に乗せた。急激な株高・円安への調整もあるが、民主党政権当時に比べれば流れは大きく変わったと国民は受け止めている。 政党支持率で自民党だけが突出する「一強多弱」の状況が続いている要因もあっただろう。 ◆問われる橋下氏の責任 日本維新の会は橋下徹共同代表の慰安婦をめぐる発言で急速に支持を減らした。民主党は海江田万里代表の下で受け皿としての存在感を示せていない。自民党優位も他党に助けられている要素が大きいといえる。 首相に問われるのは、この選挙結果を受けて参院選にどう臨むの
「日本再興戦略」と銘打った政府の成長戦略がまとまりました。13日の紙面では、このアベノミクス3本目の矢に紙面を割きましたが、そんな中で気になったのが、同じ日の5面に掲載された自民党内の動きです。 成長戦略や「骨太の方針」の閣議決定を前に自民党内で反対の声があがった、というのです。大衆薬のネット販売解禁などをやり玉にあげ、「過度な規制緩和は支持団体にそっぽを向かせる」というわけです。こうした発言、行動はかつて「抵抗勢力」と呼ばれた改革反対派とそっくり同じです。 社会保障や農業など自民党の支持層に痛みを求めねばならない改革はこれからが本番です。参院選を前に神経質になっているのでしょうが、今は日本経済再生のラストチャンスをものにできるかどうかの瀬戸際。このことだけは忘れてほしくありません。(編集長 小林毅)
自民党が7月の参院選で掲げる総合政策集「Jファイル」の原案が5日、明らかになった。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)については3月の党提言を全面的に採用し、「重要5品目などの聖域(死活的利益)を最優先し、それが確保できない場合は脱退も辞さない」と記した。政府が14日に閣議決定する成長戦略の内容も追加した上で今月中旬に最終決定する。 2月22日の「竹島の日」の式典開催については、昨年12月の衆院選の際に明記した「政府主催」の文言を削除した。 今年初めて政府主催で開いた「主権回復の日」(4月28日)の式典は「今後も節目の年に開催する」とした。 首相の経済政策「アベノミクス」では、大胆な金融緩和に関し「国債市場の安定にも配慮」との表現を加え、「副作用」が出ないようにする方針を明確化。日銀法改正は「将来の選択肢の一つとして引き続き視野に入れる」と記した。経済成長をはかるため、首相官邸に「ベンチャ
■こんな「一強多弱」にだれがした 橋下徹・日本維新の会共同代表(大阪市長)の発言を受けて、みんなの党の渡辺喜美代表は「価値観の乖離(かいり)」を理由に、維新との選挙協力を白紙撤回した。 ≪「みんな」も歴史観明かせ≫ そこまで啖呵(たんか)を切るからには、渡辺氏及(およ)びみんなの党は、自らの価値観ないし歴史観を明らかにする責任がある。 同党の浅尾慶一郎選対委員長は24日、「戦時体制を美化すると見られかねない政治勢力とは一線を画す。くれぐれも党の方針・理念から外れた行動をしないように」とのメールを党所属国会議員に一斉送信したという(27日付産経新聞)。 ならばこの党の「方針・理念」とは何か。「アジェンダ」なるものは政策の断片的羅列にすぎず、その背骨(バックボーン)たる理念を読み取るのは困難である。 5月3日に発表された「憲法記念日に当たっての代表所感」に記されている「改憲を目指すが、我々(わ
みんなの党は、参院選での日本維新の会との選挙協力を解消することを正式決定した。維新共同代表の橋下徹大阪市長の慰安婦をめぐる発言で、協力は不可能と判断したためだ。ともに憲法改正を目指す政治勢力の間に、亀裂が入ることは極めて残念だ。 みんなの党の渡辺喜美代表は、解消の理由を「政策以前の基本的価値観で大きな違いが生じた。関係を全面的に見直さなければならない」と説明した。 橋下氏が慰安婦問題に絡み、米軍幹部に「風俗業を活用してほしい」などと述べた発言は不適切だった。だが、感情的な反発により、日本にとって必要な政策を実現するための連携を否定することは妥当とはいえない。 7月の参院選に向け、憲法改正の発議要件を定めた96条改正が最大の争点に浮上している。衆参両院の総議員の3分の2以上が賛成しないと改正を発議できないとする規定を、過半数に緩和することの是非が問われているのだ。 先の衆院憲法審査会で、自民
「大反省会」と銘打たれたイベントにも関わらず、笑顔が見られる機会が多かった菅直人元首相=11日午後、東京都中央区(撮影・大橋純人) 反省どころか言い訳のオンパレード-。民主党は11日、東京・日本橋で「公開大反省会」を開催した。菅直人元首相と枝野幸男元官房長官、長妻昭元厚生労働相の3人が30歳以下の若者の質問に答え、民主党政権を振り返った。だが、菅氏らから真(しん)摯(し)な反省はほとんど聞こえず、目立ったのは官僚批判、自民党批判、自己弁護ばかり。こんなありさまでは党の再生はおぼつかない。(坂井広志) 約500人の若者を前に気をよくした菅氏は、いつものニタッとした笑顔で登場。脂ぎった言動は何一つ変わっていなかった。 「もう1回首相をやるとしたら?」との司会者の質問に「首相はやりたくない」と語ったものの、次の瞬間にはこう再登板への意欲をにおわせた。 「民間人の力を生かす内閣を最初からつくる。次
28日投開票が行われた参院山口選挙区補欠選挙(被選挙数1)は、自民公認で元下関市長の江島潔氏(56)=公明推薦=が、民主党元衆院議員で元法相の平岡秀夫氏(59)=民主、みどりの風推薦、社民支持=ら3氏を破り、初当選を果たした。これで自民党は山口県の衆参6議席を独占し、民主党の凋落を決定づけたが、もう一つ大きな意味がある。「脱原発」を声高に訴えた平岡氏らが無残に散ったのはなぜか。「安全な原発は再稼働すべきだ」というのが、静かなる民意だと受け止めるべきではないのか。(新川俊則、大森貴弘) 「選挙戦を通して有権者の安倍政権に対する大きな期待をひしひしと感じてきました。国政と山口県をつなぐパイプ役として地方の声を反映し、安倍内閣の前に立ちふさがる諸課題解決に努めたいと思います」 午後8時すぎ、当確の知らせを受けて山口市のホテルに現れた江島氏は、壇上で支持者らに囲まれて万歳三唱し、初当選の喜びをかみ
衆院小選挙区の「0増5減」を実現する公職選挙法改正案は、野党の欠席など不正常な状態のなか、与党の自民、公明両党が衆院特別委員会で可決した。 このような展開となったのは、「0増5減」を抜本的選挙制度改革や定数削減と切り離して実現することに反対し、審議を拒否した民主党など野党の責任が大きい。 格差是正の放置を司法から厳しく警告されてきたのに、最低限の措置である「0増5減」さえ実現させようとしないのは、立法府としての責任を放棄しても構わないという態度にも等しい。 与野党対立が続けば改正案は参院で否決される可能性もある。与党は衆院の3分の2の賛成による再議決も辞さず、成立させる方針を貫く必要がある。 与野党の膠着(こうちゃく)状態を受け、19日には伊吹文明衆院議長が与野党の幹事長らと会談し、改正案の付則で選挙制度の抜本改革などについて言及する打開策を示した。 議長提案は「0増5減」を先行させること
自民党の行政改革推進本部(本部長・望月義夫衆院議員)が行政の無駄遣いを精査する特別ヒアリングチームを来週発足させ、各府省の事業について聞き取りを開始することが12日、分かった。 座長は河野太郎衆院議員が務め、メンバーは越智隆雄、鈴木馨祐両衆院議員ら約15人。当面は昨年度実施された国の事業のうち、転用疑惑が指摘された復興予算や、東京電力福島第1原発事故の汚染水処理予算などを優先的に精査する。 各府省は今月から、昨年度実施した国の5000事業を自己点検する「行政事業レビュー」を始めている。 政府は民主党政権時代の事業「廃止」判定を行わない方針を決めているが、河野氏は「十分に機能せず、効果のない事業は厳しくチェックし、廃止させる」と宣言。府省側からは「党で『廃止』を判定されてもどう対応したらいいか分からない」と、政府と党との手法の違いを危惧する声が出ている。 特別チームは、国民から行政の無駄撲滅
ああ、お懐かしい。きのう午後、インターネットのMSN産経ニュースでは、菅直人政権で官房長官を務め、昨年末の総選挙で落選した仙谷由人氏の発言がトップを飾った。一敗地にまみれた経験から学び、深い反省の弁を発したのかと思いきや…。 ▼民主党の会議に呼ばれた彼は、黒田東彦日銀総裁による異次元緩和を「日銀が国債を買い占めたら、市場は成り立たなくなる」と厳しく批判。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」に至っては「むちゃくちゃだ」とばっさり斬り捨てたそうな。 ▼気持ちはよくわかる。民主党の無為無策で、1ドル75円台にまで跳ね上がった円相場が安倍政権になるや否や急速に円安となり、今や100円近くまで戻った。株価も当時の野田佳彦首相による「衆院解散宣言」からわずか4カ月で、日経平均株価が5000円近くも急騰した事実を前政権幹部として認めたくないのだろう。 ▼残念ながら「むちゃくちゃ」だったのは、3年以上続
衆院選挙制度改革についての協議後、合意文書の署名を交わして公明党の井上義久幹事長(左)と握手を交わす自民党の石破茂幹事長=28日午後、国会内(酒巻俊介撮影) 政府・与党は28日、衆院選挙区画定審議会(会長・村松岐夫京大名誉教授)の区割り改定案勧告を受け、「一票の格差」を2倍未満に収める小選挙区「0増5減」のための公職選挙法改正案の早期成立を目指す方針を改めて確認した。ただ野党は0増5減の先行処理に対し「不十分だ」と一斉に反発。改正案の国会審議の行方は不透明だ。 ■ ■ 自民党の石破茂、公明党の井上義久両幹事長は28日、国会内で会談し、公選法改正案について「速やかに成立させる」ことを文書で確認した。比例代表定数(180)を30削減し中小政党の「優先枠」を60設ける選挙制度改革の与党案についても今国会実現に全力を挙げることで合意した。 石破氏は会談後、記者団に「公明党とともに(0増5減
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く