【ベルリン=赤川省吾】独自の国外派兵などに慎重だったドイツが変わり始めた。1日に攻撃力の強い対戦車ミサイルをイラクのクルド人勢力に供与することを決めたほか、バルト3国などへの派兵も視野に入れ始めた。ウクライナや中東で緊張が高まるなか、欧州連合(EU)内の大国として、安全保障にも責任を持つ姿勢を鮮明にしている。ドイツ連邦議会(下院)は1日、イスラム過激派の攻勢にさらされるイラクのクルド人勢力に武
ドイツ南部ハンメルブルク(Hammelburg)のドイツ連邦軍歩兵訓練センターで、ミラン(Milan)対戦車ミサイルの組み立て訓練を行うクルド人の戦闘員(2014年10月2日撮影)。(c)AFP/JENS-ULRICH KOCH 【10月3日 AFP】南ドイツ新聞(Sueddeutsche Zeitung)電子版は2日、イスラム過激派を支援しているとして批判されているカタールを含むアラブ諸国数か国に対する武器の新たな輸出をドイツ政府が承認したと伝えた。 報道によればカタールの他、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、アルジェリア、ヨルダン、オマーン、クウェートが輸出対象国として挙がっている。輸出される武器には戦車や機関銃などが含まれているという。今回の独政府の決定に対して野党などから批判が上がっている。 ゲルト・ミュラー(Gerd Mueller)独経済協力開発相は8月、イスラム教ス
ドイツ東部ドレスデン(Dresden)で行われた、右派のポピュリスト団体「西洋のイスラム化に反対する愛国的欧州人(Patriotic Europeans Against the Islamisation of the Occident、PEGIDA)」のデモ(2015年1月12日撮影)。(c)AFP/ROBERT MICHAEL 【1月19日AFP】ドイツ東部ドレスデン(Dresden)の警察は18日、同市で翌19日に計画されていた反イスラムデモなどの野外の集会について、テロの危険があるとの理由で禁止すると発表した。 ドレスデン警察によると、右派のポピュリスト団体「西洋のイスラム化に反対する愛国的欧州人(Patriotic Europeans Against the Islamisation of the Occident、PEGIDA)」に対する「具体的な脅威」を示す情報が、連邦警察や州
ドイツ南部オブリハイム(Obrigheim)の原子力発電所の管制室で廃炉作業を行う作業員(2014年7月1日撮影)。(c)AFP/DANIEL ROLAND 【8月7日 AFP】真剣なまなざしで画面を見つめ、ジョイスティックで切断機を遠隔操作するオペレーター──この作業員が細心の注意を払って解体しているのは、停止した原子炉の金属部品だ。 時間もコストもかかるが、ドイツ南部にある電力大手エネルギー・バーデン・ビュルテンベル(Energie Baden-Wurttemberg、EnBW)のオブリハイム(Obrigheim)原発の原子炉解体作業は、入念な準備のもとで行われ、すでに工程の半分以上が完了した。 最終的には、37年間稼働した原発の機材、建材、設備など計27万5000トンが解体されなければならない。うち約1%にあたる約2000トンが放射性物質だ。 ■廃炉のエキスパート目指す 原発運用業務
サッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会で、ドイツが6大会ぶりの優勝を果たした。前回優勝した1990年は西ドイツの時代。それから四半世紀近くたち、ドイツ社会の変化を取り込んできた代表チームが、前回と見違えるようなサッカーでドイツ統一後初めてW杯を制した。 この日の決勝の先発メンバーのうち、クローゼはポーランドからの移民で、エジルはトルコ、ボアテングはガーナにルーツを持つ。ケガで直前に先発から外れたケディラはチュニジア系だ。エジルとボアテングは今大会で全7試合に先発し、チームの主軸を担い、大会を支えた。 多くの移民やその子どもたちが代表選手に名を連ねるようになった背景には、2000年以降の選手育成の改革がある。改革の一環で、各クラブは移民の子どもたちを積極的に受け入れるようになった。例えば、決勝点を挙げたゲッツェを生み出したドイツ1部ドルトムントの育成組織は15%以上がトルコ系やアフリカ
「記憶」「和解」――こういった言葉が現実の政治において、ある意味ではアジア諸国以上に、重く響いてきた国家関係があるとすると、それはホロコーストの「加害者」と「犠牲者」としてのドイツとイスラエルの関係ではなかっただろうか。ヨーロッパで戦争が終わった1945年、ドイツ人とユダヤ人は最も修復困難な関係の入り口に立っていたに違いない。ユダヤ人にとってドイツとは親兄弟の血の染みた「呪われた土地」となり、両者の間に横たわる600万人の死者は、和解へのいかなる試みをも挫くと思われた。他方、ヒトラーに世紀の指導者を見たドイツ人は、昨日まで自身の世界観の一部であった反ユダヤ主義を脱ぎ捨てる用意はできていなかった。 それからあと少しで70年になろうとする現在、ドイツとイスラエルの関係は良好である。イスラエル建国60周年の2008年に、独首相メルケルはイスラエルの国会クネセトで演説を行い、イスラエルとの関係をホ
第1章 「過去の克服」とは何か はじめに 「過去の克服」――ドイツ語でVergangenheitsbewaeltigung――という言葉はドイツ連邦共和国初代大統領テオドーア・ホイス(自由民主党)によって世の中に膾炙したと言われている。日本語の字義としては「過去の克服」は「過去に打ち勝つ」や「過去にけりをつける」、「過去のことは水に流す」といったような意味になるが、ドイツにおいては決してそういうことではなく、現在では普通、ヒトラー支配下のドイツ、つまりナチス・ドイツの侵略や非人道的行為に対する戦後ドイツのさまざまな取り組みを総称する言葉として用いられている。 一言で「過去の克服」といっても、その具体的な行為としてはさまざまな形態をとるが、大別すると(1)ナチスの侵略によって被害を受けたヨーロッパ諸国の人びとに対する補償と謝罪(2)ナチス戦犯に対する追及(3)ナチス時代への批判と反省を深
【ベルリン篠田航一】「武器商人」としてのドイツが存在感を増している。ドイツは現在、米露に次ぐ世界第3位の武器輸出国で、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、06〜10年の武器輸出総額は計132億ドル(約1兆300億円)と、01〜05年の計69億ドルからほぼ倍増の勢いだ。主な輸出先は欧米諸国だが、サウジアラビア、パキスタンなども「得意先」として名を連ねる。ドイツは人権弾圧国家や紛争当事者への武器輸出を禁じているが、最近は商業的利益が優先され、原則が揺らいでいるとの指摘もある。 ドイツでは00年制定の武器輸出原則に従い、首相や国防相らで構成する「安全保障会議」が輸出の可否を決定。イラン、シリア、北朝鮮など約20カ国が禁輸対象だ。
ドイツ政府は、宗教上の理由から男児の性器の包皮を切り取る「割礼」を合法化する方針を決めた。割礼が傷害罪にあたるという判決を受け、ユダヤ教徒やイスラム教徒から激しい反発が起きる一方、宗教の自由と子どもの権利をめぐる論争が起きていた。 ドイツ法務省が先月25日に各州などに示した方針によると、両親の同意があり、医学的な規則にのっとっている限りは違法とせず、刑罰を科さないとした。ユダヤ教徒に配慮し、医師でなくても同様の技術を持っている場合は割礼の実施を認めた。近く連邦議会に法案を提出する。 割礼は世界各地で長年行われている風習だが、ドイツ国内で割礼を受けた男児が大量出血した事件で、ケルン地裁が5月に傷害と判断。ユダヤ教徒などがナチスドイツのユダヤ人迫害の歴史にも触れつつ反発した。一方で、子どもの権利を主張する団体などは、子どもが肉体的に傷つけられない権利や子どもの自己決定権を主張していた。
■ドイツの『イスラーム教徒の危険性』に起因し分裂:ベルリンでのデモと反抗議行動 2012年8月19日 日曜日 『アル=ハヤート』 【ベルリン、イスカンディル・アッ=ディーク】 ラマダーン明けの祭りの前夜、ドイツや世界中でイスラーム教徒の感情への明らかな挑発の中、約200名の急進的右派ドイツ人が、昨日、ベルリンの各所に集まり3つのモスクの前で、ドイツ国旗や「イスラーム教及びイスラーム教徒の危険性」を警告したプラカードを掲げデモを行った。 それに対し、ほぼ同数のムスリムやこのデモに反対するドイツ市民も、これら挑発者のナチズムを非難するしたプラカードを持って集まり、撤退を求めた。 デモ参加者の一部は左翼党と社会民主主義党の旗を掲げていた。また昨日午後に至るまで、イスラーム教に対する攻撃的な風刺画を掲げた後は、ドイツ党に属する右翼は、今日も同じ場所でデモを行うことを示す威嚇は行っていなかった。 ド
→紀伊國屋書店で購入 著者、藤原辰史は悩む。世界全体で飢餓人口9億2500万と試算される現状のなかで、「ヨーロッパの一国が一時期体験したにすぎない飢餓の事実は読者の目にあまりに小さく映るのではないか」。「経済大国ドイツの飢餓の状況を経済大国日本で紹介することにどれほどの意味があるのか」。「結局は、「先進国」中心主義的な見方を補強することになりはしないか」。この著者の真摯な悩みを、本書のもととなった講義の受講生や講演会の聴衆は、しっかり受けとめた。その理由は、本書を読めばわかる。 第一次世界大戦がはじまった翌年の1915年から休戦協定が成立した18年までのドイツの餓死者は、76万2796人であった。ここには兵士は含まれない。食料輸入大国ドイツは、生命線としての輸送網を、イギリスの海上封鎖などによって断たれ、「兵糧攻め」にあった。その結果、1915年の「豚殺し」と1916年から17年にかけての
【ベルリン篠田航一】欧州に暮らす少数民族のロマがドイツに移住するケースが増えている。ルーマニアやブルガリアからの流入が多く、ドイツの首都ベルリンでは子供を受け入れる学校の教員不足も懸念されている。経済が好調なドイツを目指している事情に加え、フランスのサルコジ政権下で実施された「ロマ追放政策」の影響も背景にあるようだ。 「写真は撮らないで」。ベルリン東部ノイケルン地区のハルツァー通りを歩くと、黒い髪、黒い目のロマの人々が目立つ。最近は「急増ぶり」を報じるメディアが押しかけるためか、取材に警戒感を示す人も多い。 「2年前にルーマニアから来た。ドイツ語を覚え、学校で友達もできた」とユソア君(10)は正確な文法のドイツ語で話す。だが、集合住宅の入り口で話を聞いていると父親らしき男性が現れ、「そっとしておいて」と取材をさえぎった。「フランスで多くの知人が怖い目にあった。ドイツで静かに暮らせてホッとし
【ブリュッセル斎藤義彦】東京電力福島第1原発事故後に「脱原発」を決め、国内17基の原発のうち約半数にあたる8基を停止したドイツが昨年、周辺諸国との間で、電力輸入量よりも輸出量が多い輸出超過になっていたことが分かった。脱原発後、いったんは輸入超過に陥ったが、昨年10月に“黒字”に転じた。太陽光や風力などの再生可能エネルギーの増加と、全体のエネルギー消費量を抑える「効率化」が回復の要因だという。厳冬の影響もあり、電力不足の原発大国フランスにも輸出している。 欧州連合(EU)加盟27カ国など欧州の34カ国の送電事業者で作る「欧州送電事業者ネットワーク」(ENTSO-E、本部ブリュッセル)の統計。冬はエネルギー消費量が最も多いことから、ドイツ政府は「(脱原発決定後の)最初の試練を乗り切った」(レトゲン環境相)としている。 ドイツは昨年3月の福島第1原発事故後、17基の原発のうち旧式の7基を暫定的に
先週金曜日の引け後、スタンダード&プアーズがヨーロッパの9カ国の長期ソブリン格付けを引き下げました。 これでドイツのメルケル首相は仕事がしやすくなったと思います。 ドイツのねらいは国内製造業の生産水準を落とさず、雇用も減らさないという点にあります。 ドイツの生産力はドイツ国内の消費市場よりも遥かに大きいです。 すると生産を落とさず、雇用を守ろうとすれば輸出に頑張ってもらう以外に無いのです。 そのためにはユーロ安を演出する必要があります。 従って最近のユーロの急落はドイツにとってみれば神風が吹いたのと同じです。 去年の12月にイギリスを除く欧州連合加盟国は全て、財政統合にむけて努力する事に支持を表明しました。 財政統合とは具体的にはおのおのの国が自ら緊縮財政の目標を設定し、それに向けて努力するとともに、若し目標を達成できなかった場合は自動的な予算一律カットなどの条項を設ける事で規律を守るとい
(前回から読む) メルケル政権は、「2022年末までに原子力発電所を全廃する」と決断するにあたって、次の2つの委員会に意見を求めた。 ・原子炉安全委員会(RSK) ・安全なエネルギー供給に関する倫理委員会 前回の当コラムでは、RSKが 鑑定書の中に「ドイツの原発には安全性に問題があるので、直ちに止めるべきだ」とは一行も書かなかったことをお伝えした。むしろRSKは「ドイツの原発は、航空機の墜落を除けば、比較的高い耐久性を持っている」と主張し、「福島の事故で得られた知見に照らすと、ドイツの原発では停電と洪水について、福島第一原発よりも高い安全措置が講じられている」と評価したのである。 日本の読者の皆さんの中には、「原子力のプロである技術者が原発の停止を勧告していないのに、なぜドイツ政府は脱原発に踏み切ったのだろう」と不思議に思われる方が多いかもしれない。 ドイツでも、RSKが、原発の危険性を指
ここで1つ、問題になる情報が出てきてしまいました。 5月下旬の段階で、ドイツの衛生当局は「スペインから輸入されたキュウリから、病原性大腸菌が感染した」と発表したのです。 実際にはこのキュウリ、市が回収する「有機ゴミ(Bio Abfall、 BIOゴミ)」の中に混ざっていたものから大腸菌が見つかったものに過ぎなかったのですが、「スペインのキュウリはヤバイ」といううわさ、さらには「BIOゴミ」が「BIO食品」と混同されて「ビオのキュウリが原因」などといった風評被害まで出てしまいました。 ドイツのこの発表によってベルギーやロシアなども「スペイン産キュウリ」の輸入を停止します。これに猛反発したのは、当然ながらスペイン政府でした。事実無根である、風評被害による損害賠償請求も辞さない、という対立構図になってしまったのです。 錯綜する「病原野菜」情報 この中毒騒ぎでは、ドイツ全土で1500人以上が中毒症
【ベツレヘム(ヨルダン川西岸)花岡洋二】イスラエル政府は8、9の両日、テルアビブ近郊のベングリオン国際空港に欧米諸国からデモ参加のため到着した親パレスチナ活動家124人の入国を拒否した。デモが「挑発行為」(ネタニヤフ・イスラエル首相)にあたるとの理由。イスラエル政府の要請により、ほかに約200人が欧米の空港で搭乗を拒否されたとみられ、デモを企画したパレスチナ側団体は反発している。 活動家はヨルダン川西岸とエルサレムなどで約1週間にわたり占領に抗議するデモに参加し、イスラエル政府が西岸に建設した「分離壁」や入植地の現場を訪れる予定だった。デモを企画した人権団体などのパレスチナ側連合組織は海外から600人以上の活動家の参加を見込んでいたという。 デモ計画を知ったネタニヤフ首相は「挑発行為だ」と断じ、参加予定者を入国させないよう内務省などに指示した。内務省は交流サイト「フェイスブック」で交換され
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