フランク・ナイトの"Risk, Uncertainty and Profit"は1921年に出た本だが、最近あらためてファイナンスの世界で注目されているという。これまでの金融技術でヘッジしてきたのは、値動きがランダム・ウォークで正規分布に従うようなリスクだが、ナイトはリスクと不確実性を区別し、経済活動にとって本質的なのは不確実性だとした。 ブラック=ショールズ公式でもわかるように、正規分布になっているようなリスクは、オプションや保険などの金融商品で(理論的には完全に)ヘッジできる。しかしナイトのいう不確実性は、そもそもそういう分布関数の存在しない突発的なショックである。それは誰も予想できないがゆえに社会に大きなインパクトを与え、危機管理を困難にすると同時に、企業の利潤機会ともなる。Nassim Talebが"Black Swan"で指摘したように、こうした不確実性をどう扱うかは、ファイナ
「太田光の私が総理大臣になったら」の太田を見て叩いている人たちの言い分はこうです。 「ロクな政治の知識もない癖に、太田は偉そうに出しゃばるな!」 「思いつきだけの極論を提示するから当然それを政治家たちに散々に叩かれる。最初の内は抵抗するけど、やがてトーンダウンして「在り来たりな意見」に結局最後は落ちついてしまう」 どうせそんな事を言うのは殆どダウンタウンファン(もしくはビートたけしファン)だから、「太田を叩く口実」さえあればその理由など何だって良いのだ。そして愚かな彼等はあの「本当の意味」を、まるで理解していない。 だからその答えをココで自分が書いておきます。 あの番組で太田は良いデコイ(囮のカモ)を演じている。政治家のポテンシャルを上手く引き出して、それを視覚化するのに成功している。あくまでも「太田が本気で思っていること」ではなく、「政治家の力量を量れる議論が期待できるもの」を議題として
いろいろと批判もされながら、話題の連載「やばいぞ日本」第3部が今日から始まりました。そして第1回担当の湯浅博記者が、さっそくやらかしています。*1 【やばいぞ日本】第3部 心棒を欠いている(1)-イザ! http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/86956 海自艦撤退の可能性を13日の英紙フィナンシャル・タイムズは、1面で「武士道ではない。臆病(おくびょう)者だ」という見解を伝えた。 ふむふむ、と思いつつ、13日付FINANCIAL TIMESの1面記事で"bushido"という単語が出てくるものをサイトで確認してみます。 FT.com / Home UK / UK - Japan's ruling party in turmoil as premier quits http://www.ft.com/cms/s/0/65a9379
見出しは演出です。 なんか左脳の人ばかり観察してたような気がするおいらですが、ネタとして「間違ったこと言ってる」というテキストは、そのテキストを作る人間の誤読・歪曲癖にあるわけなんで、右・左関係ないのです。で、ちょっと気になったのは、産経新聞・古森義久氏は大丈夫なんだろうか、ということです。 ちなみに、前に古森氏に関してふれたテキストはこちら。 →慰安婦米軍命令の誤記事について で、今回はこれ。 →朝日新聞の夕刊コラムが死者にツバかけるーーー故瀬島龍三氏を「あいつ」「てめえ」と:イザ! 戦時中は大本営参謀を務め、戦後は伊藤忠商事会長となった瀬島龍三氏が9月4日、亡くなりました。 瀬島氏の長く錯綜した軌跡に対し、毀誉褒貶は当然あるでしょう。礼賛や同意があるとともに、批判や反対もあるでしょう。 しかしいまや死者となった相手を直接に論ずるに際しては、一定の礼節があるはずです。もう反論も説明もでき
人気blogランキング このブログが面白いと思ったらクリックをお願いします。 ウェブログ図書館 多くの優れたブログの記事へのリンクで構成されたウェブ上の図書館です。このブログも登録されています。 ウェブログ図書館(著者名「後藤和智」で検索) 「ウェブログ図書館」に登録されている私の書いた文章の一覧です。 mixi(ミクシィ) 何となくmixiをやっています。会員限定なので注意。リンク先は私のプロフィールページです。 オンライン書店ビーケーワン 私が書評を投稿しているオンライン書店です。 後藤和智の雑記帳 私のサブのブログです。 [Circle.ms][後藤和智事務所OffLine] プロフィール Circle.msの私のサークルのページです。 後藤和智 (kazugoto) on Twitter 雑感などを書いています。 後藤和智事務所OnLine - トップページ 筆者のポータルサイトで
先週、ある企業の幹部から「こういう会議に当社もおつきあいすることになったんですけど・・・」といって「ICT国際競争力会議」と題した冊子を見せられた。そこに並んでいるメンバーは、松下電器、KDDI、シャープ、富士通、ソフトバンク、ソニー、東芝、NHK、テレビ朝日、日立製作所、NEC、NTTなどの社長や会長で、議長は総務相だ。「こんな財界のコンセンサスで何かできると、役所はまだ思ってるんですかねぇ」と彼は溜息をついた。 こういうターゲティング政策は、特定の産業の業績が悪くなるとよく出てくるものだ。1990年代前半、米クリントン政権でも、商務省が半導体や自動車などの「国際競争力強化」のための産業政策を打ち出した。これに対して、ポール・クルーグマンは「競争力という危険な妄想」(Foreign Affairs, 1994)という有名な論文を書いて、こうした政策を批判した。そもそも国家に「競争力」な
今度の選挙は自民党大敗という予想のようである。 私もそうなるだろうと思う。 もう安倍晋三の顔は見飽きた、というのが国民多数の実感であろう。 安倍首相の失点は年金とか事務所費とか内政の不手際ばかり責められるが、無能力が露呈したのはむしろ外交の方である。 就任後にアメリカ訪問してブッシュ大統領と会ったけれど、そのエネルギーのほとんどは自分が火を点けた従軍慰安婦問題の「火消し」に費やされた。 でも、下院外交委員会でホンダ議員の従軍慰安婦問題についての日本政府の謝罪要求決議は首相訪米直後に通ってしまったから、首相の訪米成果はほとんどゼロだったことになる。 アジア外交についても評価は高くない。 この件についての『リベラシオン』の記事はこんなふうに始まっている。 「日本の安倍晋三首相は彼の前任者である小泉純一郎(彼は五年にわたって中国にとって『好ましからざる人物』(persona non grata)
自民党のwebサイトにある「教育現場のあきれた実態」について。 これをかいたひとのあたまはだいじょうぶだろうか。 国民だけでなく、保守のおじさんおばさん、ネット右翼の若者もなめきっているとしか思えないんだが。 北教組がいじめの実態調査を拒否した正当な理由が知りたいのですが、それにしても、北教組というのは、ひどい人たちだと思います。もっと驚くべきことは、この学力調査を北教組が拒否し、道内21支部に「協力するな」と命じたことです昭和46年に道教委と北教組の間で交わされた協定(「46協定」)や「確認書」(密約書)等の存在があります。どんな「協定」なのか、見てみましょう。北教組の話ばかりだよ、ばか。見てろよ、今に北教組の話が、日教組全体そして民主党全体にすり替わるから。自民党ばか! 日教組の組合員ではない先生が、日教組の先生に話しかけました。大切な授業のことを尋ねたそうです。しかし日教組の先生はこ
「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」の南京問題小委員会が行った昨日の記者会見ですが、日本のメディアよりも海外での報道のほうが大きく扱われているようです。 'No massacre in Nanking,' Japanese lawmakers say - International Herald Tribune globeandmail.com: Nanjing massacre a lie, Japanese MPs say BBC NEWS | Asia-Pacific | Japan MPs play down 1937 killings Japan revises massacre | Herald Sun Reuters AlertNet - Japan ruling MPs call Nanjing massacre fabrication 日本のメディアだと、すぐ見つけら
久間章生防衛相は七日午前、参院外交防衛委員会で、陸上自衛隊情報保全隊がイラクへの自衛隊派遣に反対する市民活動などの情報を収集していた問題で「たえず情報収集は行っている」と、事実関係を認めた。その上で「自衛隊が情報を収集して分析することは悪いことではない」と述べ、正当性を強調した。 また、久間氏は保全隊がデモや抗議活動の写真を撮影していたことについて「特定の誰かをクローズアップしたのではなく、デモ、抗議行動の風景を撮ることは違法ではない」との認識を示した。 これに対し共産党の緒方靖夫氏は「警察でも撮影が認められているのは、犯罪が行われたか、犯罪の証拠保全の必要性があるときなどだけだ」と述べ、「警察官が正当な理由なく個人の容ぼうを写真撮影することは憲法一三条に反する」とした最高裁判決に抵触する恐れがあると指摘した。 久間氏は「マスコミだって写真をパチパチ撮っている。取材が良くて、自衛隊だと駄目
「教育崩壊会議」と呼ぶのは、皮肉とか非難とかではなく、教育再生会議自身が「教育総崩壊」という認識を基本にしているからである。 「社会奉仕活動」がどうして規範意識や学習規律を形成し身につけさせるのだと論議したのか、自分でも丁寧に資料や議事要旨、議事録を閲覧したつもりだが、残念ながら本日現在まともな議論はされていないようだし、中教審の論議よりも後退していると思われる。 今(実は1月24日)、教育再生会議 第1次報告についてというのが発表されたのを初めて見た。当然未読であり、あとの苦しみにとっておこう。 ここでは「骨子」までのところで、コメントしてみる。ちょっと賞味期限が1日切れてますけど、健康に害はありませんから。 [1/25 追記]:なお、この記事で俎上に載せるのは、「第4回教育再生会議」の「(配付資料) 資料1 第1次報告(骨子案)」の「基本的な考え方」の部分と、これまでの議事要旨や議事録
──────────────────────────────────────── 「死にオチ」作品が溢れる日本。少しも痛みを感じない。真に痛いのはこちらに突き刺さってくる悲劇のみ。真の悲劇を映画『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』に見出す ──────────────────────────────────────── 【だらしない「死にオチ」を越えよ】 ■過去8年間、年末になるとTBSラジオで宮崎哲弥氏と一緒に年間音楽の総括番組『M2:J-POP批評』を放送し続けている。実は「J-POPは終った」は三年前の物言い。今や常態なので話題にもならない。以降は番組名に反して映画や漫画やテレビをも取り扱ってきた。 ■番組で私は、年間の音楽・映画・漫画などのサブカル全体を一言で括ることにしている。昨年は「主語の欠落」。誰が主語であってもいいような入替可能なモチーフの隆盛を言う。今年は「痛みの欠落
伊吹文部科学相は22日の参院教育基本法特別委員会で、政府の教育基本法改正案が、教育は「不当な支配」に服することはないと規定していることについて「国会で決められた法律と違うことを、特定のグループ、団体が行う場合を『不当な支配』と言っている」と語った。一方、法律や政令、大臣告示などは「国民の意思として決められた」ことから、「不当な支配」にあたることはないとの考えを強調した。 どこかの知事もそうだが、選挙で選ばれた者が教育内容を決める、と思っているらしい。ナチスを選んだらナチスの教えたいように教育を変える、おそらく自分たちの都合のよいような子供を作ることは役得だとでも思っているのだろう。 何のために教育があるのか、という基本から考え直した方がよい。 子供は本来学ぶ権利を持っているとされている、しかし、「どうぞ、学びたければご自由に」といってもすべての子供が教育的な親のもとに生まれるわけではないし
第3話: 「根拠なき”説明責任”の濫用」 岡本 薫(政策研究大学院大学教授・前文部科学省課長) おかもと・かおる 東京大学理学部卒 OECD科学技術政策課研究員、文化庁課長、OECD教育研究革新センター研究員、文科省課長などを経て、2006年1月から現職。専門はコロロジー(地域地理学)で、これまで81か国を歴訪。著書に『日本を滅ぼす教育論議』(講談社現代新書)、『著作権の考え方』(岩波新書)など。 根拠なき「説明責任」の濫用 最初に取り上げるのは、読売新聞4月14日朝刊(14版)3面の記事で、日本将棋連名の「名人戦」の主催紙を毎日新聞社から朝日新聞社へ移す計画、というテーマを扱ったものです。第3面の2分の1ほどを埋めた、非常に大きな記事です。この「名人戦」をめぐってはその後も記事をにぎわせていますが、この日の読売新聞の記事の中に、線で囲んだ250字ほどの短いコラムとして、「理事会に説明
このごろIT(情報技術)の世界でメディアをにぎわせている話題に「ICタグ」がある。商品につけた半導体チップに情報を入れ、電波で受信して在庫管理や防犯などに使おうというものだ。国際的には、MIT(マサチューセッツ工科大学)を中心にして決められた規格「オートID」が標準になり、ウォルマートなどが採用を決めた。日本でも、慶応大学にオートIDセンターができ、実装が進んでいる。 ところが、そこに「ユビキタスID」というのが現れた。まだ規格も固まらず、作っているメーカーは2社だけだが、そのリーダーである東大の坂村健教授は「米国にあわせる必要はない。日本独自の標準を作ることが国益にかなう」として政府の関与を求めている。これは「バーコードは米国の規格だから、日本独自の国定コードを作ろう」というようなものである。 坂村氏がこういうナショナリズムをあおるのは、今回が初めてではない。15年前に彼が進めた「トロン
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く