新緑の風薫る5月。ようやく花粉症も治まり、気分良く新鮮な空気を吸い込める人も多いのでは。暦のうえでは立夏。季節は、すでに夏の始まりです▼風のささやき、草木のにおい、花びらのみずみずしさ。そして、歓声をあげて走り回る子どもたち…。自然や生命が息づき、いとおしく感じる時期。その息吹とともに、子どもを描きつづけた画家が、いわさきちひろでした▼彼女が亡くなってから今年で40年。東京や安曇野のちひろ美術館には、いまも、たくさんの家族連れや女性たちが訪れます。東京では、今月中旬まで「世界中のこどもみんなに平和としあわせを―ちひろの願い」と題した作品展を開いています▼青春時代に戦争を体験したちひろは、なによりも平和な世界を望みました。当時、ベトナム戦争の子どもたちに思いをはせた絵本「戦火のなかの子どもたち」。彼女は本の最後にこう記しています▼「戦場にいかなくてもよくわかるのです。こどもは、そのあどけない