◆詐話師を信じた新聞 衆院選に向けた党首討論会で、自民党の安倍晋三総裁は朝日新聞記者の質問に答え、慰安婦の強制連行を根拠なしに認めた河野洋平官房長官談話の見直しについて、「有識者の知恵を借りながら考える」と述べ、有識者会議を設置する意向を示した。 安倍氏は「朝日新聞の誤報による吉田清治という詐欺師のような男が書いた本がまるで事実かのように日本中に伝わった。人さらいのように(慰安婦を)連れてきたという事実は証明されていない。このことは閣議決定されている」とも指摘した。 この安倍発言には、少し説明が要る。 吉田清治氏は戦時中、山口県労務報国会下関支部動員部長だったと名乗り、昭和58年に「私の戦争犯罪 朝鮮人強制連行」(三一書房)という本を出した。昭和18年5月、韓国・済州島に部下9人を連れて上陸し、泣き叫ぶ朝鮮人女性205人をトラックで強制連行した-という内容だ。 この話は朝日新聞(平成4年1