二十日に成立した原子力規制委員会設置法の付則で、「原子力の憲法」ともいわれる原子力基本法の基本方針が変更された。基本方針の変更は三十四年ぶり。法案は衆院を通過するまで国会のホームページに掲載されておらず、国民の目に触れない形で、ほとんど議論もなく重大な変更が行われていた。
東京電力福島第一原発事故を受け、放射性物質の健康影響などネット上で飛び交う原発や放射能関連の不正確な情報を打ち消すため、経済産業省資源エネルギー庁が正しい情報を発信するホームページ(HP)が、当初予定から約半年経過しても完成していない。同庁は、正しい情報の確認作業が難航しているためとし、完成を三月末に先送りした。
英語に「忘れ(ザ・フォ)られた人(ガトゥン・マン)」という言葉がある。米大統領だったF・ルーズベルトが選挙で、政府の援助を受けられない人々を指して使って、大衆化した▼だが、元は米社会学者W・サムナーの造語で「きちんとして、よく働く普通の市民」を表現した言葉だという。善良な一般市民、と言い換えてもよいだろう▼ところで、しばらく前になるが、自民党の総合エネルギー政策特命委員会で、細田博之元官房長官が脱原発か推進かなど、あわてて議論する必要なしと主張して、理由をこう述べたという。「世論が中庸でいかざるを得ないと認識するまで、一、二年はかかる」(毎日)▼元通産官僚で原発推進派。世間は、一、二年もすれば原発も必要だと言いだすさ。脱原発の世論なんか、やがては沈静化する。そんな見立てである。いうなれば、一般市民を「忘れられた人」ならぬ、「忘れ(ザ・フォ)っぽい人(ゲットフル・マン)」とみなしているわけだ
今回の原発事故に関して、政府や東電からの発表が信用できないだけでなく、テレビ・新聞などの大手マスメディアの記事にもかなりバイアスがかかっていることが明らかになって来た。特に読売と産経の「経産省より、経団連より」のバイアスは目にあまるものがある。 こんな状況だから、今回の事故ではブログやYoutubeなどのパーソナル・メディアが情報源として多いに役に立ったと感じている人も多いとは思うが、これはこれであいかわらず玉石混淆であり、その中から信頼できる情報や意見を選び出すことは簡単ではない。 先日も、「福島第一原発の敷地。敷地内の土地のあちらこちらにヒビ割れが生じていて、そこから高温のどす黒い湯気が噴き出しているそうです。」というデマが流れていたが、パーソナル・メディアのみに頼るとこの手のデマに惑わされる危険があるのが難点である。 となるとやはり一時情報として頼りたくなるのはマスメディアだが、その
東京電力福島第一原発から低濃度放射性物質を含む汚染水を海へ放出するにあたり、政府が事前に米国側と協議し、内諾を得ていたことが分かった。米国政府関係者が一日に政府高官と面会したり、東電での関係者間の対策会議に参加したりする中で「米国は放出を認める」と意向を伝えていたという。 汚染水放出をめぐっては、韓国や中国、ロシアなどが「事前説明がなかった」と批判している。日本政府は放出発表後に各国に報告したが、放出を始めた四日の三日前に米国とだけ協議していたことで反発が強まる可能性もある。 日本側関係者によると、米エネルギー省の意を受けた同省関係者が日本人研究者とともに一日、官邸で政府高官と面会。「汚染水を海に放出し、早く原子炉を冷却できるようにしないといけない。放射性物質は海中に拡散するので問題ない。米政府は放出に抗議しない」とのメッセージを伝えたという。
庶民感覚で本質を突く本紙の時事川柳には、はっとさせられることが多い。<専門家こんなにいたのに事故起こる><原発を薦めたタレント知らん顔>。その通り、と膝を打った▼<マスメディア原発後押し一休み>。「原発ルネサンス」などと浮ついた言葉を吐いて、政府が進めてきた原子力政策に無批判だった新聞やテレビへの痛烈な批判と受け止めた▼いま、こんなことを考えている。殺人や汚職事件の取材にかける百分の一の労力を、政局の取材に使う百分の一の知恵を、プロ野球や五輪、サッカーのワールドカップの取材に向ける百分の一の情熱を、国の原発政策の監視に注いでいれば、この人災は防げたのではないか、と▼大地震が起きた場合、原発が暴走する危険性を指摘するなど、原発問題と真摯(しんし)に向き合っている記者は本紙にもいた。残念ながらその警告は大きな流れにはならず、大半の記者は目の前の事象を追うのに精いっぱいで原発の危険性に大きな関心
幼い娘のわいせつな画像を撮影し、男に売りつけるなどしたとして宮城県警は六月から十二月にかけて、母親らを摘発した。いずれも経済的には困っておらず、小遣い稼ぎが目的とされる。県警は「画像がネット上に流れれば、将来にわたって子どもを苦しめることになる」として、今後も“親の犯罪”を徹底捜査していく方針だ。 県警はすでに関係先から女児のわいせつ画像を少なくとも一万枚押収しており、画像の送信元などとして関係する警視庁と合同捜査本部を設置し、被害児童の特定を進めている。
米軍普天間飛行場の移設問題をめぐり、鳩山由紀夫首相と岡田克也外相の意見対立が深刻になった。首相は、連立相手の意向を踏まえ、沖縄県外への移設に傾斜。対する岡田氏は、対米関係を維持するには、現行移設計画で年内決着を図るほかないと思い詰める。政府方針を決める最終段階で、政権は抜き差しならない局面を迎えた。(竹内洋一) 首相は七日、近く政府方針をまとめ、米国に伝える考えを記者団に示した。二〇〇六年の日米合意に基づき沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部に移設する現行計画については「米国からそういう要求は来ている」と述べた。 その上で、沖縄県民の県外移設への期待感、社民、国民新両党との連立の重要性を指摘し、辺野古移転は「簡単ではない」と二度繰り返した。米国の要求に屈しない「対等な日米関係」を探る姿勢を示す思惑もある。
「それでも私は医者になりたい」 都内に住む中原のり子さんは、十年前、当時高三だった長女・智子さんからこう告げられた時のことを忘れられない。 中原さんの夫・利郎さんは小児科の勤務医をしていたが、激務で心身がむしばまれ、病院の屋上から飛び降りた。四十四歳だった。 遺書には「このままでは日本の医療は破たんする。私には医師を続ける気力も体力もない」とつづられていた。遺書を見た直後、智子さんが口にしたのが冒頭の言葉。夫の苦痛を娘も味わうのだろうか。中原さんは「賛成はできない。でも応援してあげる」とだけ答えた。 勤務医、特に外科、産婦人科、小児科の労働環境は劣悪だ。 その原因の一つに、二〇〇四年に導入された新たな臨床研修制度がある。新制度は、二年間の研修期間中に数カ月単位で各科を巡回させることを必須にした。以前は卒業した大学病院に残り、一つの科目だけ研修する新人医師が多かっただけに、医師の科目選択の自
「基礎科学力強化懇談会」に出席した益川敏英氏(右端)ら歴代ノーベル賞受賞者・受賞決定者=7日、東京・霞が関 ノーベル賞4人受賞の快挙を弾みに日本の基礎科学研究の振興を図ろうと、文部科学省は7日、歴代受賞者・受賞決定者らから意見を聞く「基礎科学力強化懇談会」を都内で開催。「欧米の褒めて育てる文化を取り入れれば、もっと良くなる」「先生は自分より優れた弟子をつくることが大事なのに、日本では逆に排除したがる」といった指摘が出た。 今年の物理学賞に決まった小林誠・高エネルギー加速器研究機構名誉教授(64)と益川敏英・京都大名誉教授(68)に加え、江崎玲於奈(83)、小柴昌俊(82)、利根川進(69)、野依良治(70)、田中耕一(49)の計7氏が参加。 「自由に述べてもらうため」(文科省)として、あいさつを除き非公開となった。同省によると、ほかにも「米国では分野の違う人と話せる機会が多い」「生物医療分
「わが国は日中戦争に引きずり込まれた被害者」という田母神俊雄航空幕僚長の文章に、近現代史に詳しい学者らはあきれ顔。内容をことごとく批判し「レベルが低すぎる」とため息が漏れた。 「小学校、中学校から勉強し直した方がいいのでは」と都留文科大の笠原十九司(とくし)教授(日中関係史)は話す。空幕長の文章は旧満州について「極めて穏健な植民地統治」とするが、笠原教授は「満州事変から日中戦争での抗日闘争を武力弾圧した事実を知らないのか」と批判。「侵略は一九七四年の国連総会決議で定義されていて、日本の当時の行為は完全に当てはまる。(昭和初期の)三三年にも、日本は署名していないが『侵略の定義に関する条約』が結ばれ、できつつあった国際的な認識から見ても侵略というほかない」と説明。「国際法の常識を知らない軍の上層部というのでは、戦前と同じ。ひどすぎる」と話す。 「レベルが低すぎる」と断じるのは纐纈(こうけつ)厚
追加経済対策に盛り込まれる二兆円規模の定額減税が、現金やクーポンなどを配布する「給付金方式」に変更される方向となった。二十八日の与党政策責任者会議で、自民党が公明党に提案。公明党側は持ち帰って協議することにしたが、自民党幹部は「低所得者層が恩恵を受ける方策として、公明党の理解も得られる」との見通しを示した。 与党はこれまで(1)所得税と個人住民税の一定額を還付する定額減税(2)所得税を納めていない低所得者層への給付金支給−を二〇〇八年度内に行うことで合意していた。 ただ、定額減税は税制改正が必要な上、所得税と住民税の減税時期がずれて手続きが煩雑になるなどの問題点が浮上。早急に対策の効果を挙げるには、一律に給付金などを支給する方が望ましいとの声が自民党内で強まった。
妊娠九カ月の東京都内の女性(36)が、相次いで病院に受け入れを断られ、脳内出血で死亡した問題は、二十四時間態勢の「周産期母子医療センター」制度が十分に機能していない実態を浮き彫りにした。慢性的な医師不足や集中治療室(ICU)の満床に加え、当直を挟んで四十八時間勤務という過酷労働の医師もいる。センターに指定されている各病院では「現場の医師の負担が重過ぎる」と訴えている。 (橋本誠、出田阿生、神田要一) 同センターは一九九六年、緊急や重症の妊産婦と新生児を救うために制度化され、全国でスタートした。都内には新生児集中治療室(NICU)と母体集中治療室を備えた総合センターが九施設、NICUだけの地域センターは十三施設ある。今回、女性の受け入れを拒否した八病院のうち、どちらかに指定されている病院は、当初拒否した都立墨東病院など六つあった。 女性が脳内出血を起こした今月四日夜、順天堂医院には当直医が二
東京新聞や中日スポーツが、政治家や金メダリストを血液型で分析して話題になっている。A型の福田首相は保身、B型の北島選手は個人プレー、といったタイプ分けの記事だ。ただ、科学的根拠がないものを…などと批判も出ている。 A型の福田首相「何事もなかなか決められない」 「少し軟らかく政治を考えてみよう」 東京新聞の2008年8月12日付コラム「即興政治論」では、こんなイントロから政治家の血液型分析を始める。記者が、政治の専門家ではない心理研究家にインタビューする形式だ。 研究家は、A型の人たちを「農耕民族」として、福田康夫首相を、天候の読みに慎重なように、「何事もなかなか決められない」タイプと分析。人の意見を聞き過ぎてリーダーシップを発揮できない部分があるとした。記者も「軸足の定まらない経済政策はそういう感じですね」と相槌を打っている。 一方、小沢一郎・民主党代表については、B型=「遊牧民族」として
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