8月15日が近づくと、また「自虐史観」と「歴史修正主義」の不毛な論争が繰り返されるが、ほとんどは本書のいう「プロパガンダ」である。それは朝日新聞の慰安婦報道に典型的にみられるように、まず「日本はアジアに永遠に謝罪し続けなければならない」という結論を決めて、それに合致する話だけを拾い上げたものだ。 本書はその例を6つあげているが、特に興味深いのは2010年に公開されたアメリカの真珠湾攻撃に関する機密文書だ。ローズヴェルト大統領は、真珠湾攻撃を「卑怯な奇襲」と宣伝して米国民の戦意を高めたが、「彼は攻撃を知っており、日本海軍は罠にはまった」という陰謀説もいまだに多い。 結論からいうと、これはプロパガンダだが罠ではない。ハル・ノートが日本に開戦させるための挑発だったことは事実で、これは日本と交戦することによってドイツに対米宣戦布告させ、大西洋戦線でイギリスを救うことが目的だった(これも機密文書で証