福島の除染 「1ミリ・シーベルト」が阻む住民の帰還(3月9日付・読売社説) 福島県内の復興を進めるために、まず必要なのは効率的な除染だ。 約16万人に及ぶ避難住民が、一日でも早く地元に帰還できるよう、政府と自治体が連携し、迅速に作業を進めることが重要である。 遅れが目立つのは、事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所周辺にある11市町村の除染だ。特別地域として、環境省が直轄で除染作業を実施している。 このうち本格除染に着手したのは、4市町村にとどまる。はぎ取った表土などの仮置き場の確保、除染対象地の地権者の同意取り付けに難航していることなどが、想定より遅れている要因だ。 未着手の自治体で避難住民との交渉にあたることも無論、大切だが、最優先すべきは、本格除染が始まった自治体での作業のスピードアップだろう。 年間被曝(ひばく)線量が20ミリ・シーベルト以下の「避難指示解除準備区域」となってい