唐突だが、あなたはあるシステム構築案件のプロジェクトマネジャーだったとしよう。あるとき部下のチームリーダーが病気になり、リリース間際の数日間現場を離れてしまう事態に陥った。さて、あなたならどうするか。選択肢は二つ。一つは「自分がチームリーダーの役割を担う」、もう一つは「サブリーダーに任せる」だ。 実はこれ、リスク管理に関する典型的な例題である。サブリーダーに任せるのは不安だろう。「自分がチームリーダーの役割を担う」を選んだあなたは、急場をしのぐ上で賢明な判断を下したといえる。しかしこの判断は、リスクを「脅威」としか捉えていない表れだ。現場は滞りなく進むかもしれないが、実は一方で大きなチャンスを逃す可能性がある。 「サブリーダーに任せる」という判断を下したあなたは、リスクを「好機」として捉えられる力がある。これは大きな武器になる――。記者はこのことを、日経SYSTEMS4月号の特集1「挑むプ