候補がひしめく日本 ノーベル物理学賞を日本人3名が受賞した直後、筆者は10月8日に発表されたノーベル化学賞の選考にも大変期待を寄せていた。残念ながら今年の化学賞の女神は日本に向かって微笑まなかったが、特に2000年以降は複数の日本人が化学賞を受賞している。 事実、米トムソン・ロイターが毎年発表している予測にも、多くの日本の発明と日本人の名前が化学賞にはリストアップされてきた。その中には、「光触媒」や「リチウムイオン電池」も含まれているのだが、その発明者達とは20年以上の交流が続いていることもあって、殊更応援している次第である。 光触媒の原型は1967年の「本多・藤嶋効果」に遡るが、日本からの発信は世界の注目を浴びた。二酸化チタン電極と白金電極を用いて、二酸化チタン側に光を照射すると水が分解されて、二酸化チタン側から酸素が、白金側から水素が発生する原理の発見であった。その延長上に、現在の光触