米国に比べて普及の速度が遅い日本の電子書籍だが、最近は紙の新刊と同時に電子版を出版する例も増えており、牛歩ではあるがゆっくりと浸透しているように見える(写真)。筆者は紙と電子が併売されているタイトルは、基本的に電子書籍をダウンロード購入することがほとんどだ。 電子書籍をダウンロード購入するたびにユーザーとして悩むことがある。お金を支払ってダウンロードした電子の本は誰の「所有物」なのか、というテーマだ。これが紙の本であれば明白だ。本屋で購入した本の所有権は基本的に購入者のものだ。 電子書籍はその名が示す通り、紙の本のメタファーを踏襲している。ダウンロードした電子書籍は端末内にある仮想の書架に並んでおり、実際の本棚に並んだ紙の本をイメージできる。さらに表紙があって目次があって、ページをめくるという行為ができることから、端末のスクリーンの中に紙の本をイメージするのが普通の感覚だ。 それがお金を支