父親がウツになったとき、子どもたちは何を思うのだろうか。 「私は就職したくない。怖いです。父は会社に壊された」 「父が会社を休むようになってから、母がものすごく明るく振舞っていて。それを見るのがとてもつらい」 「父はきっとずっとつらかったんだと思います。でも、そのことに家族は気付きませんでした。何もしてあげられなかった」 「父親がウツ」と語る学生たち。彼らは何も特別に集められた集団ではない。私が講義をもっている大学の学生たちだ。講義のあとや校内ですれ違ったときに、何か相談したげにやってくる学生がいるのだが、その中に「父親がウツ」と語る学生たちが、どういうわけか今年は多い。 たまたま多いのか、なんなのかはよくわからない。けれど、その現実に少々驚くとともに、彼らの話に、…胸が苦しくなった。 だって、私たちのときには「父がウツ」なんて考えられなかったから。ウツなんて言葉は一般的ではなかったし、今