ユーロ危機は、単に経済的な危機ではなく、欧州文明の理想を揺るがすものだ。今回はいつもの報告と趣向を変えて、ユーロ危機の現象面を追うのではなく、23年前から欧州で働いている者の視点で、この危機が欧州精神にもたらす変化にメスを入れてみたい。 欧州の連帯を揺るがすユーロ危機 このコラムを読んでくださる方の大半は、金融機関などにお勤めのビジネスパーソンだと推察する。このため「ユーロ危機をめぐる最新の動きが知りたいのだから、文明論は勘弁してほしい」と思われるかもしれない。 しかし、今年2月のコラムでお伝えしたようにユーロ危機は長期化する兆候を見せている。さらに、英国が欧州連合(EU)から脱退について賛否を問う国民投票を実施する意向を示すなど、分裂の可能性すら浮上している。つまり債務危機、競争力危機は、通貨の安定性にとどまらず欧州諸国の団結をも揺るがす事態に発展している。その背景を理解するには、「欧州
![経済偏重が生んだEU分裂の危機:日経ビジネスオンライン](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/05f492a9ba706b05ca8fd61b1840b099fb59fdc9/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fbusiness.nikkeibp.co.jp%2Fimages%2Fn%2Fnbo%2F2011%2Fcommon%2Fnbologo_ogimage.png)