私は、記者として為替、株、商品などのマーケット取材の担当をした。そこで市場の奥深さが好きになった。一つの価格には、さまざまな問題が織り込まれ、非常に経済や社会を映し出すためだ。 こうした経験を踏まえて金融市場の奥深さを示す興味深い話を3つ紹介したい。8月15日の終戦記念日にちなみ戦争と株式・金融市場の関係だ。 日本の戦時国債、Wikipediaより、敗戦の後のインフレで紙くずになった 戦争の終わりを予見した株価 1945年7月に米英中の三カ国は日本の無条件降伏を求める「ポツダム宣言」を発表した。政府はその対応策の協議を続けたが、結論はなかなか出なかった。最終的には同年8月14日に昭和天皇の「聖断」が下され、翌15日に終戦の詔勅が発せられた。しかし15日未明に陸軍将校によりクーデターが起きて近衛師団長が殺害されるなど、情勢は最後まで混沌とした。 日本海軍の実戦部隊を指揮する連合艦隊司