カネを稼ぎたい、という発明 あなたがどこかの母親から「娘が悪い男を好きになったら、どう変えることができるだろう」と相談を受けたとすると、あなたはどう答えるだろうか。私の答えは決まっている。「そんな男を好きにならないように育てるしかない」だ。 というのも、人はいったん定めてしまった思想を根底から疑うのは難しい。嗜好や志向や思考ともに、いま自分が信じているものを最上と思い込む。 ただ、私たちがいつも信じ、使っているものであっても、絶対的ではなく単に近代の発明にすぎないことがよくある。たとえば、若手ビジネスマンは仕事に「やる気」「モチベーション」を求める。しかし、「やる気」「モチベーション」なる言葉が仕事で強調されはじめたのはここ20年にすぎない。国会図書館の所蔵雑誌類でサーチすると、1996~2000年には「モチベーション」が登場する数は69回にすぎないものの、2001~2004年には323回