小玉:アルゼンチンについて言えば、通貨ペソの下落は独自の要因に根差した部分が大きいのです。1つがインフレ率の改ざんです。公式統計だと前年比で10%程度の上昇ですが、民間の調査では25%くらいありそうだと。市場では以前から公然の秘密のように言われていました。 当然、インフレが進んだ分、通貨は安くならないといけないわけですが、為替介入で無理やり抑えてきた。それが限界に達したということです。外貨準備は昨年初めとの比較で35%程度減少し、持続可能な政策ではないと市場も政府も気づき始めました。大幅な調整はある意味で必然的な過程であって、どこかで起きることは不可避だったと思います。 アルゼンチン独自の要因に根差していますから、他国に波及する必然性はないはずでした。昨年末時点と年明けの時点を比べると、多くの新興国は客観的な情勢は大きく変化していません。当初は新興国通貨の混乱はそれほど長引かないと思ってい