2013年09月14日20:09 カテゴリ本 グローバル資本主義という暴力 イギリスは「産業革命」による技術革新と株式会社による資本蓄積で産業資本主義を生み出し、世界各地に植民地を建設して自由貿易による富で大英帝国を建設した――と教科書では教わるが、本書の紹介する最近の歴史学では、これは間違いである。 CraftsやClarkなどの計量経済史的な研究によれば、18世紀後半のイギリスの生産性上昇率は年1%程度であり、産業革命と呼ばれるほど急速な技術革新はみられない。主要な産業は手工業だったので、大規模な機械制工場もなかった。ではイギリスに初めて資本主義が生まれた原因は何だったのか。これについてはいまだに論争が絶えないが、本書によると奴隷貿易が大きな役割を果たした可能性は否定できない。ポメランツも、資本主義を生み出したのは1200万人の奴隷貿易と国営の海賊を使って新大陸やアジアの富を掠奪した「