起業家として経営者として、稲盛和夫を駆り立てているものは何だろうか。成功した創業経営者は莫大な資産を形成するが、おカネはモチベーションを持続的に高める力にはあまりならない。 米国の経営者には、日本の経営者とはケタ違いの報酬を得る人もいる。もちろんおカネの魅力は絶大だが、稲盛の場合は違うだろう。なぜなら創業した京セラを優良企業に仕立てたところで、早々と経済的には満たされているはずだからだ。 わざわざ第二電電(現KDDI)を設立するまでもない。まして78歳で日本航空(JAL)の再建に乗り出す必要はない。しかも無給である。会社更生法の下で、資本増強をするためにJALが実施した第三者割当増資の一部を、京セラが引き受けたことを批判する見方もある。 JALが再建を果たし再上場したので京セラは含み益を得て、京セラの株を持つ稲盛にも間接的にプラスになったというのだろう。しかし、もしJALが2次破たんしたら