印象派の影響力は強い。かつわかりやすい。 他の芸術ムーブメントである新古典主義やロマン主義、ダダイズムなどは聞いても私達はピンとこないのではないか。しかし印象派だけは誰もが知っている。それだけ人の心に訴えかける共感力や、ぱっと見た時の色彩の心地よさがあるのだろう。数字の面でいうと、75万円の絵が一気に2億円以上に跳ね上がるなど影響力もある。 本書は初心者が印象派に興味を持った人への手引書となりそうだ。登場する作家はルノワール、ドガ、ゴーギャン、モネ、スーラ、マネ、セザンヌ、ゴッホ、ロートレック。画家の死後、名をあげた作家を含め印象派のオールスターである。 描きかたは、印象という名がついただけあって、キャンバスに細部まで描き込むことはせず素早いタッチと実際よりも誇張された色彩で展開される。図の左はセザンヌ『赤いチョッキの少年』。右側はルノワールの『可愛いイレーヌ』だ。セザンヌと比較してみると