自社のポジションを守るために、既存の大手企業も新規参入者も等しく考慮すべきことがある。エコシステムの管理と活用だ。垂直統合か水平分業か、という二者択一を超えて、エコシステム内で価値を自社に引き寄せる戦略の一端を紹介する。本誌11月号(10月10日発売)特集「競争優位は持続するか」の関連記事、第9回。 ブラックベリーがたどってきた経緯からは、私たちを取り巻く競争環境の新たな真実が浮かび上がってくる。すなわち、成功と失敗を左右するのは、製品やサービスの良し悪しだけではない。経営やコスト効率、資本構成の健全性だけでもない。エコシステム(生態系)を管理するための効果的な戦略が必要なのである。 ブラックベリーはこの点で失敗した。同社はきわめて高いロイヤルティを持つ既存顧客に安心しきってしまい、競合他社のエコシステムがもたらす脅威に気づかなかった。過去の多くの大手企業と同じ轍を踏んだのだ。すなわち、ネ