検証記事の検証を続けよう。植村記者の記事は確かにひどい誤報だったが、単純な事実誤認で、訂正記事ひとつですむ程度の話だった。問題を混乱させた最大の原因は、その後22年も誤報を認めないで、問題をすり替えて逃げ回った朝日新聞の幹部にある。「強制連行 自由を奪われた強制性あった」という検証記事は、こう認めている。 日本の植民地下で、人々が大日本帝国の「臣民」とされた朝鮮や台湾では、軍による強制連行を直接示す公的文書は見つかっていない。 これがすべてである。吉田清治などのいう強制連行が嘘であることは、1992年に西岡力氏などの専門家が朝日に対して指摘しており、彼らも社内で検証したものと思われる。その結果、金学順は人身売買だったことが判明し、朝日の論調は少しずつ後退した。検証記事はこう書く。 河野談話の発表を受け、朝日新聞は翌日の朝刊1面で「慰安婦『強制』認め謝罪 『総じて意に反した』」の見出しで記事