日本の半導体メモリは韓国企業に駆逐された 2021年6月1日午前9時、筆者は、衆議院の分館4階第18委員室の参考人席に着席していた。衆議院の「科学技術・イノベーション推進特別委員会」から、半導体の専門家として参考人招致を受け、「日本半導体産業の過去を振り返り、分析、反省し、その上で将来どうしたらいいか?」について、意見陳述を行うよう要請されたからだ。 筆者は20分強の意見陳述で、主として次の3点を論じた。
マルクスが見てきた「苦しむ若年労働者」 労働力は、人間が持っている能力で、本来は社会の「富」の一つです。労働力という富を使って、本当なら生活をもっと豊かにしたり、夢を実現したり、社会のために役立てたり、働く人に幸福感や充実感をもたらしてくれるような活かし方ができるはずです。 ところが資本主義は、この労働力という「富」を「商品」に閉じ込めてしまう。資本家にとって、自分で購入した労働力商品を使うにあたり、労働者の生活の質や夢、やりがいに配慮することは関心事ではありません。彼らが執心しているのは、労働が生み出す価値の量。それを最大化するために労働を支配していくのです。 こうして、生きるために働いていたはずが、働くために生きているかのように本末が転倒していきます。労働力という富が商品に閉じ込められてしまうことで、多くの労働者にとっては、人間が持つ能力の発展が阻害され、使い潰されてしまうのです。 「
7年8カ月に及んだ安倍政権に対して国民の7割が肯定的な評価をしているなか、相変わらず全否定を貫く“政治インテリ”も少なくない。政治権力への批判は大事だが、民意と離れすぎては悪影響が大きい。橋下徹氏の意見は? プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(9月8日配信)から抜粋記事をお届けします。 (略) 国民・メディアによる評価・批判は政治家への「人事評価」である 国家を動かすということは、まさに国家の行政組織を動かすということであり、その肝は、人事と予算だ。つまり、組織のメンバーを効果的に動かすためには、人事評価というものが重要になってくる。 人は自分が評価されるように動く。だから組織のメンバーを効果的に動かすためには、各メンバーがどのように動けばいいかの指標を合理的・効果的に明確に示すことが肝要である。激しい競争にさらされている現代の民間企業は、ここに叡智を注いでい
新型コロナウイルスによる日本の死者数は欧米に比べて少ない。だが感染者数と死亡者数を「対数グラフ」で分析すると、日本だけが異常な推移をたどっている。統計データ分析家の本川裕氏は、「他国のように収束へ向かう横ばい化への転換が認められず、増加ペースが落ちていない。そこには3つの理由が考えられる」という——。 新型コロナウイルスは、海外でも日本でも「感染爆発」と呼ばれた一時期ほどの急拡大は見られなくなってきた。だが、それでもなお深刻な感染状況が続き、医療が対応しきれないこともあって各国で死者が増えている。 1月に中国・武漢ではじまった新型コロナの感染拡大は、その後、韓国、イラン、イタリアなどと広がり、また、さらに欧州各国や米国などを中心に全世界に拡大してきている。この4カ月余りを過ぎた時点で、地域によって感染拡大のテンポや規模がどのように違っているかを、世界各国と日本の国内で振り返ってみたい。 感
平成の日本は悲惨だった。令和時代は挑戦する日本に 新元号が「令和」に決まったということで、30年にわたる平成時代がいよいよ幕を閉じるカウントダウンが始まった。 過ぎ去ろうとする平成時代に厳しい評価が相次いでいる。わかりやすいのは「失われた30年」という批判だ。 平成元年(1989年)の大納会で、東京証券取引所の日経平均株価が史上最高値(終値)3万8915円を付けたが、それからバブルが崩壊し、その最高値に2度と到達することはできなかった。 また当時の世界時価総額上位50社には、日本企業が32社も入っていたが、2018年にはトヨタが1社だけになった。日本勢の敗北に目を覆いたくなるほどの惨めさがある。 90年から18年までの名目GDPを主要国と比較してみると、日本は28年間で約1.2倍しか実現できていないのに、中国は約46.4倍の膨張。中国が異例だとしても、アメリカは約3.4倍、イギリスでも約3
「女に興味はないか?」について行った バングラデシュの隣国、インドを旅しているときだった。仲良くなった地元の若者たちと昼間から酒を飲んでいたら、「女に興味はないか?」と問われたのだ。 インドの売春街といえば、コルカタのソナガチなど、いくつか有名なところもあるが、当時滞在していたのは田舎で大して大きな街でもなかった。世界遺産でもある性をモチーフにした雄大なレリーフで有名なカジュラホに近いだけの街だった。大都市に風俗街があるのは年若い自分でも予想ができたが、こんな辺鄙な場所にもあるのかと驚いた。 飲酒運転という概念すらないであろう若者の運転するバイクに乗って、村からかなり離れた場所まで連れてこられた。そこには土壁の家と呼べないようなボロ屋があった。 「ここだ」と言われて近寄ると、玄関っぽい場所の横にあるかまどにうずくまるようにして火を起こしている人がいた。年齢はわからない。性別はサリーっぽい衣
佐藤栄作首相は「頭の片隅にない」と言いながら解散した 野党側は26日の国会会期末に向けて内閣不信任決議案の提出を検討し始めた。決議案を出すとハプニング的に解散になってしまうのを恐れて提出を躊躇していただけに、遅まきながらファイティングポーズを取り始めたようにもみえる。しかし実体は「解散が消えたから、不信任決議案を出しても大丈夫」という発想のようだ。 その本音が見え透いているから、自民党の二階俊博幹事長の周辺からは「会期末に野党が不信任決議案を出したら絶対に解散する」という脅しともとれるメッセージが発信されている。 安倍氏の大叔父にあたる佐藤栄作氏が首相在任中、解散は「頭の片隅にない」と言いながら解散したことがあった。後に佐藤氏は記者団に「頭の片隅にはなかったが、真ん中にあった」とうそぶいたという。この50年以上前のエピソードが自民党側から野党に向かって盛んに流されてもいる。 現状ではさすが
6月からNTTドコモが携帯電話の新料金プランを提供する。家族割引などを組み合わせると、最大で4割安くなるという。だが他社との料金水準が大きく変わったとはいえない。なぜ携帯料金は下がらないのか。総務副大臣の佐藤ゆかり氏は「その原因は『5G』にある」といいます。「プレジデント」(2019年5月13日号)の特集「『新・日本経済』入門」より、特集記事の一部をご紹介します。 携帯料金が下がらない理由は5Gにあった? 2018年8月、菅義偉官房長官が「携帯電話料金は4割値下げの余地がある」と述べました。根拠となったのは、OECDによる各国の携帯電話料金の比較です。日本は他国と比較しても、料金が割高だというデータが出ていました。 そこで、こうした現状を変えるため、電気通信事業法の改正法案を3月の通常国会に提出しました。 この改正法案では、通信料金と端末代金の分離と、下請け・孫請けを含むすべての携帯キャリ
「儲け話がある」としてUSBメモリで投資教材を売りつけるトラブルが、首都圏の大学で急増している。トラブルの相談を受けた教育アドバイザーの鳥居りんこ氏は「20歳以上はいわゆる『未成年者取消』ができない。わが子がトラブルに巻き込まれないように、保護者は注意が必要です」と訴える――。 なんのヘンテツもないUSB49万円を購入するまでの一部始終 長い受験期間を終え、子どもが晴れて大学生になった親御さんの中には「ようやく子育ても終了」と安堵されている方もいることだろう。大学生の多くは在学中に成年になるため「子育て終了宣言」が出てもおかしくはない。 しかし、である。 この「若葉マーク成年」が怪しい業者の格好のターゲットになっている事実をご存じだろうか? 筆者は思春期の子どもを持つ親たちから悩みや相談を持ちかけられることが多いが、最近も都内在住の大学生の母親から相談を受けた。 「USBメモリを媒体とする
残業させたくない会社VS残業したい社員 2019年4月から、働き方改革関連法が一部施行される。時間外労働の上限規制や勤務間インターバル制度の普及促進など、労働者の働きすぎを防ぐ施策が目白押しだが、注意したいのは、労働基準法の規制の対象は企業であり、労働者ではないという点だ。 今回の改正で、時間外労働の上限は最長で単月100時間未満、複数月(2~6カ月)平均で80時間までとなった。上限を超えた場合、企業は刑事罰を受けるおそれがある。一方、上限を超えて働いても、労働者へのお咎めはなし。困るのは企業側だけだ。 好きで長時間働く労働者はいないと思われるかもしれないが、必ずしもそうとは言えない。成績が給料に直結する営業マン、早く独立するために修業を積みたい職人見習いなど、自主的に長く働こうとする人もいる。社会保険労務士の岡田良則氏は次のように解説する。 「いまや長時間労働は企業にとっても大きなリスク
定年まで会社を勤めあげれば、多くの人は退職金を手にする。突然、大金を手にした人は、金融機関にとって格好のターゲットだ。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏は「まとまった額をそのまま投資に回してしまうと、大きなリスクを抱えることになる」という。退職金を狙う「ハゲタカ」バンクの生態とその対策は――(後編、全2回) 退職金の運用に失敗してしまう2つの理由 前編では、投資ビギナーである定年退職者の方々が、退職金を運用する場合に金融機関から勧められる具体的な金融商品の事例を紹介した。後編では、退職金の運用に失敗してしまう理由とやっておくべき対策について解説したい。 前編で挙げた3つの事例(「退職金専用定期預金」「投資信託」「外貨建て保険」)は、定年退職者の退職金の運用に際して、「金融機関が提供するこの商品は要注意」なものとしてしばしば挙げられている。 しかし筆者は、これらの商品自体にそれほど問題が
東京大学入学式での上野千鶴子名誉教授の祝辞が話題を呼んでいる。コミュニケーションストラテジストの岡本純子氏は「上野氏は『自分が勝ち抜くことだけを目指すな』と訴えた。多くのデータは、日本が敗者や弱者を排除する『世界一冷たい国』であることを示している。上野氏のメッセージはその危機感の表れだろう」と指摘する――。 上野千鶴子氏のメッセージに耳を貸さない冷酷日本 4月12日に行われた東京大学の入学式での上野千鶴子名誉教授の祝辞が「刺激的」「奥深い」と話題になっている。 祝辞の全文を読み、筆者もかつて「ワセジョ」(早稲田大学の女子学生)時代、女子大との合同サークルの活動中に他大の女子ばかりをチヤホヤするワセダの男子たちに腹を立てていたことを思い出した。 女性差別についての論考については、受け取り方はさまざまあるだろうなと感じつつも、筆者の心に最もガツンときたのは、以下の部分だ。 《世の中には、がんば
お金を持っていないからといって、経済に興味を持たないでいるとどうなるか。経済評論家の横川楓さんと経済記者の高井浩章さんは「お金から逃げていると、人生が詰む」と口をそろえる。なぜ若者ほどお金に興味をもつべきなのか――。 20代のリアルは「貯蓄ゼロ」 【高井】横川さんの新刊の『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)、これ本当にリアルで、正直、「ここまでツラい現実を突きつけちゃっていいの?」という印象を受けました。でも、これこそ、既存のお金や経済の本とは違う、同世代だからこそ書けるものだな、と。資産運用や貯蓄の本って、私のような40代の団塊ジュニアよりもちょっと上、バブル世代から元祖・団塊世代あたりの、経済的にちょっと余裕がある人向けのものが多いですよね。 【横川】そうなんです。「貯蓄を」とか「資産形成を」とか言われても、私たち世代とはズレがあるなってずっと感じていました。同世代の友人
日本のメディアはワンパターンな記事が好きだ。「有機農業は善、農薬は悪」「巨大多国籍企業は悪、零細中小は善」「経済成長よりは環境保護」「モノよりは心」……。だがそれは現実を無視している。「食生活ジャーナリストの会」代表の小島正美氏は「このままでは日本は世界から取り残される」と説く――。 民間企業が種子を提供して何が悪いのか 記者はどちらかといえば、ものごとを単純にとらえる傾向がある。最初から「善」と「悪」が決まっていて、「食品添加物は悪、無添加は善」「有機農業は善、農薬を使う農業は悪」「原子力発電は悪、太陽光や風力など再生可能エネルギーは善」「巨大多国籍企業は悪、零細な農家は善」といった具合である。 その結果、記者の書く記事はワンパターンになりやすい。「主要農作物種子法の廃止」に関する記事も、そのよい例である。 主要農作物種子法(いわゆる種子法)は1952年、戦後の食糧増産という国家的な要請
他党に激震を走らせた立憲民主党の「引き抜き」宣言 「今日、確認した方針に基づいて、当面の統一地方選、参院選に向けた準備と合わせて活動を進めていきたい」 3月26日、立憲民主党の枝野幸男代表は会見で「当面の活動方針」というA4、1枚の紙を配布した。当時はメディアも「新元号」報道で浮わついていたこともあり、この会見のことは、ほとんど報じられなかった。しかし野党各党に激震を走らせたのだ。 「活動方針」は6項目からなる。概要は、 1:政権獲得の準備のために「政権構想委員会」をつくる。 2:「経済政策調査会」を設置する。 3:総合選挙対策本部に「立憲ビジョン策定委員会」を立ち上げる。 4:5月をメドに参院選1人区の候補者調整を進める。 5:参院選の比例区は「立憲民主党」として戦う。20人以上の擁立を目指す。 6:衆院選の候補者擁立を全国的に進める。 というもの。一見しただけでは他の野党を刺激する問題
築地市場「再開発方針」の素案が発表された 豊洲移転に伴って、2018年10月に閉場した築地市場の再開発方針の素案が東京都から発表された。築地市場跡地は20年の東京五輪・パラリンピックで車両基地として活用した後、40年代までに段階的に再開発を進めることになっている。 都の素案によれば23ヘクタールの跡地を「おもてなしゾーン(国際会議場や高級ホテル)」「水辺の顔づくりゾーン(レストランや緑地)」「交流促進ゾーン(大規模集客、交流施設)」「ゲートゾーン(交通ターミナル機能)」の4つに区分して整備していく方針。中核になるのは「おもてなしゾーン」で、国際会議や展示会・見本市の会場になる「MICE施設」の整備が想定されている。具体的な整備内容は都民などのパブリックコメントを踏まえたうえで19年度末に「築地まちづくり方針」として正式決定するそうだ。
月収に対して、どれぐらいの家賃が適正なのか。よく「家賃は月収の3分の1」と言われてきたが、それは払い過ぎかもしれない。長年、賃貸トラブル解決に携わってきた司法書士の太田垣章子氏は「スマホ代などかつてより出費が増えており、『月収の3分の1』では生活が行き詰まるリスクが高い」と警鐘を鳴らす――。 ※本稿は、太田垣章子『家賃滞納という貧困』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。 私たちの生活は「お金がかかるスタイル」になっている 家賃は月収の3分の1が相応と言われていたのは、もう過去の話です。今の世の中、理想は4分の1以下にまで抑えなければ、大きなリスクを背負いかねません。 外出先で喉が乾けば、コンビ二や自販機で飲み物を買えばいい。忙しくて夕飯が作れない時は冷凍食品や惣菜を買えばいい。そんな便利さに私たちはすっかり慣れてしまいましたが、水筒を持って出かけたり、自炊をするより、明らかに費用はか
人に自分の話を聞いてもらうには、どうすればいいのか。コクヨのコンサルタントである下地寛也氏は「話がつまらない人には3つの共通点がある。それは、『緩急がない』『数字がない』『事例がない』だ」と説く――。 ※本稿は、下地寛也『プレゼンの語彙力』(KADOKAWA)を再編集したものです。 話の途中で聴衆をドキッとさせているか? 話のつまらない人、いますよね。本人は真面目に話したりプレゼンをしているのに、どうしてもだんだん眠くなったり、集中が途絶えて他のことを考え始めてしまったり……。 私も昔はその「話のつまらない人」でした。なにせ、人と話すのが苦手だからという理由で、デザイナー職を志望してコクヨに入社したほどだったのです。オフィスの設計者になりましたが、案の定、顧客対応が下手すぎて上司や営業に怒られる日々。「会社辞めたい……」と思いながら働いていたものです。 それが今では、プレゼンで「YES」を
「改元」はどのような時に行われてきたのか。改元理由の多くは天皇の即位だ。だが、かつては「珍しい亀が見つかった」「病を治す泉を発見した」といった、吉兆に由来する改元も行われていた。背景には「政治的な演出」があったという――。 ※本稿は、プレジデント書籍編集部著、宮瀧交二監修『元号と日本人』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。 日本の元号で一番多く使われているのは「永」 中国の元号数は、元号が制度化された唐の建国(618年)から辛亥革命によって清が滅亡するまで(1911年)の間で189とされている。一方、日本は「大化」(645年)から「平成」(1989年)までを合わせると247もあり、数だけで比べると、意外にも日本のほうが多い。 ただ、元号に使用された文字の種類は、中国が148字、日本が72字となり、中国のほうが多いのだ。日本は中国の約半分の72字で247もの元号をつくり出しているこ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く