先月半ば、福島第一原発の構内を取材する機会がありました。強い放射線、過酷な収拾作業…。猛暑の中で願います。ロボットの強力な助けがほしい。
先月半ば、福島第一原発の構内を取材する機会がありました。強い放射線、過酷な収拾作業…。猛暑の中で願います。ロボットの強力な助けがほしい。
教育基本法の改正後、停滞した教育改革の流れを前進させられるかどうか。参院選ではこの大命題も問われている。 教育内容を適切に見直していくことは国の責任であり、その基本となるのが史実の歪曲(わいきょく)など教科書の偏向の是正だ。 教育を重点政策に掲げる安倍晋三政権と与党自民党は、首相官邸と党に「教育再生」を目指す組織を設置して、道徳教育の充実や教科書行政、教育委員会制度の抜本改革などを次々に提言してきた。教育現場で改善が図られずにきている国の根幹にかかわる懸案ぞろいだ。 参院選公約にもうたわれたそれらの中でも特筆されるのが、「近隣諸国条項」の見直しである。教科書記述をゆがめる温床とされてきた条項の改善は、喫緊の課題である。安倍政権には、公約通り進めてほしい。 日本維新の会は「参院選公約」で「教育基本法の趣旨に基づき、教科書検定・採択制度を全面的に見直す」と踏み込んだ点で、野党の中で際立っている
敦賀原発 活断層認定の再検討が要る(7月13日付・読売社説) 原子力規制委員会に求められるのは、公正で科学的な判断だ。 日本原子力発電が、規制委による敦賀原子力発電所(福井県)敷地内の活断層評価に真っ向から反論する報告書を提出した。 規制委は5月に、「敦賀原発2号機真下の断層は活断層」とする評価書をまとめた。原電の報告書は、その後の追加調査に基づくものだ。規制委の評価の根幹にかかわる新事実を挙げている。 事実やデータの尊重は、科学的判断の大前提だ。規制委は、真摯(しんし)に再検討すべきである。 活断層評価で規制委がまず、注目したのは、原発敷地の端に掘られた調査用の穴で見つかった短い断層だ。規制委は、これが地震を引き起こす活断層と認定した。 原電は、追加調査でこれを否定した。短い断層の上に堆積した地層は、規制委が活断層の活動時期の目安とする12万~13万年前から乱れておらず、断層も動いていな
13参院選 教育政策 人材育成への具体策を競え(7月12日付・読売社説) 優れた人材をどのように育成するのか。日本の将来を左右する重要なテーマである。参院選では各党の教育政策をしっかりと見極めたい。 昨年末に発足した安倍政権は、教育再生を経済再生と並ぶ重点課題に位置づけてきた。首相直属の教育再生実行会議は、いじめ対策や教育委員会改革など、3次にわたる提言をまとめた。 民主党政権下で抽出方式に縮小された全国学力テストを再度、全員参加方式に戻した。学校週5日制を見直し、自治体の判断で土曜日に授業を行いやすくするよう省令を改正する方針も示した。 政権交代後、半年間で推進した政策の是非が、参院選ではまず、問われることになるだろう。 自民党は参院選の公約の柱として、「世界で勝てる人材の育成」を掲げ、英語教育の強化や理数教育の充実をうたっている。 国際社会で活躍したり、新たな科学技術を創造したりする力
戦時中に日本で徴用された韓国人4人が新日鉄住金(旧新日本製鉄)に未払い賃金などを求めた訴訟で、ソウル高裁が同社に対し1億ウォン(約880万円)ずつの賠償を命じた。 請求権問題は解決済みとする日韓両国の協定に明確に違反しており、日韓関係をさらに悪化させかねない不当判決である。 今回の判決は昨年5月、韓国最高裁が「日本の植民地支配は不法な強制的占拠」と元徴用工の個人請求権を認め、審理を高裁に差し戻したことを受けたものだ。高裁も徴用を「朝鮮半島の不法な植民地支配と侵略戦争遂行に直結した反人道的な不法行為」と決めつけ個人の賠償請求権を認めた。 だが、昭和40年の日韓基本条約の付属文書である日韓請求権・経済協力協定では、日本が無償供与3億ドルと政府借款2億ドルなどの経済協力を約束し、両国とその国民(法人を含む)の請求権に関する問題は「完全かつ最終的に解決された」と明記された。菅義偉官房長官が「日韓間
熱中症予防 過度に節電せず冷房の活用を(7月11日付・読売社説) 日本列島は連日、猛暑に見舞われている。 熱中症に十分注意し、夏を乗り切りたい。 10日も各地で最高気温が35度以上の猛暑日となった。山梨県甲州市では、今年になって全国で最も高い39・2度を記録した。今月に入り、熱中症で病院に搬送される人が相次ぎ、死者も出ている。 連日の猛暑は、太平洋高気圧と、中国大陸から押し出されたチベット高気圧が日本上空で重なる「ダブル高気圧」が原因だ。この暑さは今週末まで続くという。 気象庁は、この夏の気温は全国的に平年より高めになると予想している。ダブル高気圧が去っても、警戒は怠れない。 熱中症は、高温多湿の状態で、体温の調節機能が働かなくなって起きる。吐き気、だるさが表れ、重症になると意識が薄れる。 猛暑日が多かった2010年には1700人余が死亡した。 熱中症の予防で重要なのは、水分と塩分をこまめ
列島各地で猛烈な暑さが続いている。9日に観測史上最高の39・1度を記録した山梨県甲州市(勝沼)をはじめ、関東甲信、東海地方などでは連日の「猛暑日」(最高気温が35度以上)となり、熱中症で病院に搬送される人も相次いだ。 この暑さは12日ごろまで続く見通しという。さらに気象庁の3カ月予報でも、今夏は全国的に気温が高めになる傾向が強い。「暑く長い夏」を乗り切るため、節電よりもまず健康に留意して、熱中症予防に万全を期したい。 今年は関東甲信から九州地方までの梅雨明けが平年より6~15日早かったうえ、大陸側から張り出したチベット高気圧が日本の上空で太平洋高気圧と重なり、気温上昇に拍車をかけているという。 今はまだ、体が暑さに慣れていない。とくに高齢者や乳幼児のいる家庭では、こまめな水分、塩分の補給と冷房の使用などで、熱中症を未然に防ぐことが大切だ。 熱中症は、高温多湿の環境で体の熱を十分に放出できず
13参院選 社会保障 負担増の論議は避けられない(7月10日付・読売社説) 少子高齢化が急速に進む中、年金、医療、介護などの社会保障費は増え続けている。 持続可能な社会保障制度をどう築いていくか。参院選の重要な争点である。 自民党が、価格の安い後発医薬品の使用拡大や、複数の医療機関での重複診療抑制を打ち出したのは、危機感の表れと言えよう。 だが、自民を含め、各党の公約を見ると、国民に負担増を求めることには及び腰だ。 例えば、高齢者医療の自己負担率を引き上げる問題である。 健康保険法などは70~74歳の医療費の窓口負担を2割と定めている。それにもかかわらず、2008年以降、歴代政権は特例措置として1割に抑えてきた。高齢者の反発を恐れてのことだろう。 公費の支出削減のため、法定の2割への引き上げは必要だ。 しかし、この問題について、自民、公明、民主各党は公約で言及していない。共産、社民両党は引
国内の全原発に対して大幅な安全強化を義務づけた新規制基準が8日、施行された。 原発の早期再稼働を目指す北海道電力など4電力会社は、5原子力発電所10基について、安全審査を求める申請を原子力規制委員会に対して行った。 安価で安定した電気の供給は、喫緊の課題である。東京電力福島第1原子力発電所の事故を受けて関西電力の2基を除く全原発が止まっている現状では、電気料金のさらなる値上げや、電力不足による大停電の発生が危惧される。 エネルギーの確保は国家の基盤に関わる重大事だ。参院選を通じて原発利用のあるべき姿を各政党間で論じ合ってもらいたい。 ≪代替手段どうするのか≫ だが、原発をはじめとするエネルギーの議論は盛り上がりを欠いている。原子力技術の輸出を含めて、明確に原発肯定の姿勢を示しているのは自民党だけだ。 民主党は「2030年代の原発稼働ゼロへあらゆる政策資源を投入」と、相変わらず脱原発を標榜(
中国とガス田 一方的な開発は認められない(7月9日付・読売社説) 沖縄県・尖閣諸島を巡って対立している日本と中国の関係を一層緊張させる重大な事態だ。 日中の境界が画定していない東シナ海の中間線付近で、中国が新たなガス田開発に着手したことが発覚した。 既成事実を積み重ね、力ずくで海洋権益を得ようとする中国の習近平政権の強硬姿勢が一段と鮮明になったと言えよう。 日中両国は2008年6月、両国から等距離の中間線に隣接する白樺ガス田を共同開発し、中間線をまたぐ特定海域を共同開発区域にすること、さらに、その他の海域での共同開発に向けた協議を継続することで合意した。 海底資源に主権的権利が及ぶ排他的経済水域(EEZ)の境界線を巡って、中間線を主張する日本と、沖縄トラフまでとする中国の見解の溝が埋まらないためだ。 今回、中国の掘削施設の新設作業が確認されたのは、中間線から中国寄り西側約26キロの海上だ。
原発再稼働申請 安全確認は公正で効率的に(7月9日付・読売社説) 原子力規制委員会の真価が問われよう。 東京電力福島第一原子力発電所事故を教訓とした原発の新規制基準が8日、施行された。 これに伴い、北海道、関西、四国、九州の電力4社が5原発10基の再稼働に向け、安全審査を規制委に申請した。 新基準は、万が一の重大トラブルの際に事態の悪化を食い止める手段を大幅に増やした。地震・津波の影響評価も強化した。 点検する項目は多く、1基に半年以上を要するという。しかも複数の原発を同時に審査する。規制委には、効率性も求められる。 新基準には課題も残る。 原子炉冷却が困難な時に内部の圧力を下げるフィルター付き排気設備や緊急時対策所、防潮堤、防水扉などの新設を求めたが、ハード偏重との批判がある。運転員の緊急時対応能力といったソフト面も加味し、総合判断すべきだ。 一部の設備については、設置を5年間猶予した。
通常国会で成立した「いじめ防止対策推進法」が今秋にも施行される。平成23年に大津市で中2男子がいじめを苦に自殺した痛ましい事件が、与野党による議員立法につながった。 法制化は、いじめを許さないという国の意思表示だ。新法制定をいじめ根絶を目指す契機とし、学校でも家庭でも、いじめを絶対許さぬ覚悟を強めてほしい。 新法は、同じ学校に在籍するなど一定の人間関係にある児童や生徒の行為で、対象者が心身の苦痛を感じている状態を「いじめ」と定義した。 心身に重い被害を受けたケースなどを「重大事態」として、学校に文部科学省や自治体への報告を義務付けた。重大な被害を及ぼす恐れがある場合は、直ちに警察に通報することを明記し、必要に応じて加害側の子供に出席停止を命じることも求めた。 いじめ対策では、教職員による早期発見が何よりも重要となる。現実から目をそらし、隠蔽(いんぺい)を図ることは許されない。 インターネッ
米機密漏洩事件 問われる情報管理のずさんさ(7月8日付・読売社説) ひとりの男が世界中を揺るがしている。 米国家安全保障局(NSA)が違法な通信情報収集をしていると告発したスノーデン容疑者のことだ。南米や欧州などの26か国に亡命申請し、2週間もモスクワの空港で待機している。 スノーデン氏は香港に滞在していた1か月前、NSAが、極秘に構築した監視・傍受システムを使って、電子メールやネット電話、動画サイトの情報を大量に収集していると英米紙に暴露した。 NSA職員ではなく、契約請負企業で働いていた民間人だが、個人のプライバシーが侵害されるのを見て、「良心が許さなかった」と、告発の動機を語っている。 NSAは、秘密のベールに包まれた情報機関だ。日本を含む世界各地に施設を保有している。 それにしても、民間人が機密情報をかくも容易に漏洩(ろうえい)できたことには驚くしかない。 米情報機関では、膨大な情
これ以上の先送りが許されない社会保障制度改革は、参院選で論じ合うべき最重要課題だ。 経済成長や行政改革だけでは、膨張する社会保障費をまかなっていくにはとても追いつかない。急速に進む少子高齢化にはどう対応するのか。 立ち止まっていては日本そのものが立ちゆかなくなるという危機感を持って、改革の全体像を明示すべきだ。それなしには国民の将来に対する不安は拭えない。 各党には論戦を通じて、「逃げられない課題」を解決するための選択肢を示してほしい。 政府の「社会保障制度改革国民会議」が近く最終報告書の素案を示す予定だ。しかし、自民、民主、公明の3党の公約には、社会保障・税一体改革で棚上げされた70~74歳の医療費窓口負担の2割への引き上げや、年金の支給開始年齢引き上げなど国民に痛みを求める改革項目は見当たらない。 自民党は「国民会議の審議の結果等を踏まえて必要な見直しを行う」と公約でうたっている。国民
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