もう10年以上前のことなのでお話しても時効だろう、ある会社の社長からヘッドハンティングの声を掛けられたことがある。 冷凍うどんなどで知られた、恐らく多くの人にとっておなじみの会社だ。 詳しく聞いてみると、個人資産から出資しているある会社の経営状況が思わしくないので、ターンアラウンドマネージャーとしてその会社に行って欲しいという話だった。 当然、「御社のCFOやエースを派遣した方が確実では・・・」と率直な疑問を返す。 大きな会社なので、まさか社内に人材がいないはずもない。というよりも、そういった人たちを差し置いて当時まだ30代前半だった私に経営を任せたいなど、明らかに何かがおかしい。 かわいがられているのは感じていたが、引き抜きは青天の霹靂でむしろヤバイ裏があるに決まっているとさえ思ったので、その場で強く固辞した。 しかしそれでも粘られ、説得された。詳しくは後述するが、無碍に断りきれない理由