メダルラッシュに沸いた2012年ロンドン五輪。ただ、ふるわない競技もあった。金メダルなしに終わった日本男子柔道だ。柔道が五輪の正式種目になった1964年以来、金メダルゼロは初めて。選手たちは相当に悔しい思いをしたに違いない。 どうして日本柔道は五輪で勝てなくなったのか。さまざまな理由が考えられるが、よく指摘されるのがルールへの対応だ。日本が目指しているのは、一本を狙う美しい柔道。一方、世界の主流はポイントを取って勝ちにいくヨーロッパスタイルで、ルールも競技性重視の方向で改正が重ねられてきた。日本柔道はその変化に対応できなかった。 じつは07年に国際柔道連盟(IJF)会長にマリウス・ビゼールが就任して以降、エンターテインメント性が重視され、以前より一本狙いが不利ではなくなったといわれている。しかし、エンターテインメント重視の方向性も日本柔道の武道の精神とは相容れない。いずれにしても世界の流れ