『銃・病原菌・鉄』はSNS上でよく言及される信奉者が多い、歴史学もしくは文化人類学の名著で、世界の文明の発達の違いを説明した本だ。内容はエピローグを読めば分かるのだが、大陸ごとの自然環境が大きく影響したと主張されている*1。 近世以降の征服者と被征服者を分けたものは、鉄器や銃や文字などの技術の差と、病原菌への免疫力の差であった。少数のスペイン人が南米を征服できたのは、軍事技術の差は勿論のこと、持ち込んだ感染症が現地社会を壊滅させたことが大きな理由である。 この二つの差がどこから来るかと言うと、農業と畜産の発生と発展に集約されるそうだ。技術者や官僚機構を支えるだけの食料生産能力が無ければ、技術の維持・発展ができない。また、家畜が傍にいて病原菌を媒介することで、自分に免疫がある感染症を異民族にもたらせるようになる。 農業と畜産の発生は、自然環境に大きく左右される。短期で安定して収穫できる植物が