2012年12月19日に図書館法第7条の2に規定する「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」が告示された。2008年の図書館法改正以後、かなりの時間が経過したが、図書館事業の現況を踏まえ、各方面の意見に丹念に応える作業を経て告示に至ったことを歓迎する。 しかしながら、今回告示された基準の中で、障害者サービス関連項目において、昨年8月の改正原案(パブリックコメント時の案)をさらに修正されたことにより、異議が生じている。具体的には、「対面朗読」が、今まで図書館現場で使われていない「図書館資料等の代読サービス」に置き換えられた点である。 図書館の障害者サービスは、「図書館利用に障害のある人々へのサービス」であり、その目的は「すべての人にすべての図書館サービスを提供すること」にある。これは図書館が行うべき基本的なサービスである。その中心的なサービス方法である対面朗読は,視覚に支障のある障害者を含む
原文「GUIDELINE FOR EASY-TO-READ MATERIALS,Compiled and edited by Bror I.Tronbacke.1997」(ISBN-13 978-90-70916-6-49) 要旨この指針には二つの主要な目的がある。 読みやすい図書の本質とそのニーズを記述し、主要な対象グループをいくつか確認すること、 読みやすい図書の出版社及び読むことに障害をもつ者を対象とした団体及び機関に示唆を与えることである。 文化、文学及び情報にアクセスできることは、民主主義的な権利である。識字能力に困難や限界があったりすると、多くの場合、この権利の行使に、読みやすい図書へのアクセスが必要となってくる。 読みやすい図書は、様々なレベルの読書障害をもつ人々に必要とされている。障害グループは異なっても、ニーズは、かなり似ていて、読みやすい図書の製作には数カ国の協力も可能
原文「Guidelines for Library for Services to Persons with Dyslexia By Gyda Skat Nielsen and Birgitta Irvall under the auspices of the Section of Libraries Serving Disadvantaged Persons.2001」(ISBN-13 978-90-70916-82-7) http://archive.ifla.org/VII/s9/nd1/iflapr-70e.pdf 目次 1 序文 2 ディスレクシアとは 3 民主主義的な視点 3.1 国連の基準規則 3.2 ユネスコ公共図書館宣言 3.3 読者憲章 4 図書館員のディスレクシアに関する知識の必要性 4.1 図書館司書養成所 4.2 成人教育 5 ディスレクシアの子どもたちへの図書館
日本点字図書館は、中国盲文図書館との間で友好姉妹館関係を締結しました。 姉妹館締結年月日:2011年6月28日午前8時50分 (日本時間6月28日午前9時50分) 締結場所:中国盲文図書館(北京) なお、当館が海外の点字図書館と友好関係を結ぶのは、1970年に友好姉妹館締結した韓国点字図書館に次いで2館目であり、中国の点字図書館と姉妹館になるのは国内では当館が初めてです。 経緯 日本点字図書館と中国盲文図書館との交流は、昨年11月、中国盲文出版社の方が視察のため当館に来館されたことを契機に始まりました。 その後、理事長の田中が中国を訪問するなどして友好関係が深まり、この度、中国盲文出版社から点字図書館を開設するにあたり、友好関係を締結したいとの申し入れがありました。 今後両館は、相互発展のため交流を深めてまいります。 中国盲文図書館のご紹介 「盲文」とは中国語で点字を意味し、
国立国会図書館では、平成22年度「図書館及び図書館情報学に関する調査研究」事業として、「公共図書館における障害者サービスに関する調査研究」を実施した。 本調査研究は、国内の公共図書館における障害者サービスに関する基礎的なデータを収集し、図書館及び隣接領域における連携・協力に資することを目的としている。国内の全公共図書館を対象とした質問紙調査と、先進的なサービスを実施している9館を対象としたヒアリング調査を実施した。 なお、本調査研究は、外部調査研究機関に委託して行った。実施に当たっては有識者による研究会を組織し、研究会の監修のもとで調査研究を進めた。 ここでは、研究会委員による論考と質問紙調査・ヒアリング調査の結果をまとめた報告書本編に加え、質問紙調査の集計結果、質問紙調査の回答内容一覧の表(事前に許諾を得た館のみ)、質問紙調査の回答結果の一部を各館ごとにまとめたもの(事前に許諾を得た館の
表題の件について,ある大学の障害学生支援室関係者より質問を受けたので,「大学の障害学生支援室の行う支援と著作権」のみについてここにまとめておきます(初等中等教育の教科書に限っては,教科書バリアフリー法があるのでまた別の議論となります)。 一般的に,障害学生支援室は,視覚障害など,何らかの読むことへの障害のある学生の支援にあたる場合,その学生が必要とする書籍を電子的に複製するという作業を行います。 具体的には,障害学生支援室のスタッフが書籍をスキャンして画像としてコピーし,OCRにかけ,テキストデータに変換したり,単にスキャンした書籍を画像やPDFとしてパソコンで閲覧できるようにしたりという作業になります。 このように,紙の印刷物から,音声読み上げや点字への変換,文字サイズなど見た目の変更などの機能を持つ支援技術と組み合わせて使用するために,アクセシビリティの確保に役立つ形式へ変換すること(
スノホミッシュ学区での読み書き支援 米国での障害のある児童生徒のための電子教科書利用の例として,スノホミッシュ学区の例を取り上げます。前回の記事は,こちらをご覧下さい。 このスノホミッシュ学区(Snohomish School District)は,小学校10校,中学校と高校が各2校ずつの計14校からなる比較的小規模な学区です。また,この学区が所属するスノホミッシュ郡の一部(全体ではない)の人口は3万人以上,K12(幼稚園から高校3年までの教育課程)の学生数はおよそ9,500人で,カバーする面積は165平方マイル=約265平方キロ。日本でいえば静岡県の掛川市くらいの広さでしょうか。ちなみに掛川市の人口は12万人とのことなので,やはり日本に比べると随分人口密度は低いようです。 スノホミッシュ学区の統計情報 http://www.sno.wednet.edu/index.php/distric
本日,昨日と,シアトルや,その周辺のSchool districtを再び回って,支援技術担当者に会ったり,小学校を見学してきました(日本の某研究所からの先生二人から見学依頼があったので,先生方もお連れして訪問しました)。Snohomishの方は以前も伺っていて,学校にも訪問して担当者のこともよく知っていますし,とても進んだ取り組みを初めておられるので印象深く忘れそうにないのですが,Seattle Public Schoolsの方が初めて伺って,今回は担当者に会うのみで学校に訪問するセッティングも間に合わなかったので,忘れないうちにメモしておきます(随時追加予定)。 結論から言えば,今回見学したSeattleとSnohomishでは,「BookshareのテキストDAISYをダウンロードして,音声読み上げ機能のあるATソフトウェアで読む」というやり方が基本でした。 基本情報 最初に訪問したの
inclusion, diversity, education and employment access 以下の文章は、College Boardの「Advice for Evaluators」を筆者が翻訳したものです。受験生がCollege Boardが実施する試験で合理的配慮を求める際に、添付して提出が求められる根拠資料が満たすべき基準について、手引きが示されています。米国のCollege Boardは、日本でいうところの共通テスト(大学入試センター)のような「SAT」という試験などを実施・運営している団体です。 私自身、研究および実践テーマの関係から、さまざまな障害のある受験生の根拠資料を目にすることがあります。しかし、残念ながらこれらの基準を満たさない根拠資料ばかり、といっていい状況です。そうした根拠にならない資料や診断書が添付されてしまうと、受験生本人にとって、本当は必要だった
「ブックシェアとは?」 さて,前回,前々回と,障害のある児童生徒の電子教科書利用について,シアトル公立学区やスノホミッシュ学区ではブックシェアが利用されていることを紹介しました。今回は,このブックシェアについて具体的な説明をしたいと思います。 端的に言えば,ブックシェアとは,印刷された文書を読むことに困難のある障害者(People with Print Disability)のためのネット上の電子図書館です。ベネテック(Benetech)という米国はカリフォルニア州パロアルトに本拠地を置くNPO法人が,そのプロジェクトのひとつとして行っています。 Benetech http://www.benetech.org/ Bookshere http://www.bookshare.org/ ブックシェアは,最新の書籍を含む様々なタイトルの書籍を,障害のある人が読書するのに便利なデータ形式(テキス
客が持ち込んだ本は、店内に置いた専用の箱に入れていく=津市藤方 大手コーヒーチェーン「スターバックスコーヒージャパン」(東京都)が今月、店で古本を集め、売ったお金を視覚障害者の本づくりのために寄付する活動を展開している。 注文したカフェラテを受け取りにカウンターへ。そこに置かれた赤のカードが目に留まる。 あなたのこころをすでに満たした1冊の本。同じ1冊の本が、役目を変えて、次の誰かにつながりますように この活動は、CSR(企業の社会的責任)活動の一環で、今月1日から全国877店のうち約450店で始まった。 読み終えて要らなくなった本を回収し、中古本を扱うブックオフオンライン(神奈川県)で買い取ってもらう。お金は社会福祉法人日本点字図書館に寄付し、小説などを朗読した「録音図書」の制作費に活用する。 発案したのは、CSRチームの松本しのぶマネジャー。「クリスマスを前に、本を通じた活
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