古い本をデジタル化して保存し、パソコンで閲覧できるようにする取り組みが、国立国会図書館や大学図書館などで進んでいる。 日本の知の資産を効率的に活用する技術の今を紹介する。(滝田恭子) 国会図書館で90万冊 蔵書数約3600万点を誇る国立国会図書館(東京本館・東京都千代田区)は、破損しそうな古い資料をマイクロフィルムで保管してきた。理想的な温度や湿度で管理すれば、フィルムは数百年、良好な状態が保てると考えてきたからだ。ところが30年程度で劣化し、デジタル媒体に押されてフィルム自体の供給が先細りになるという事態に陥った。 そこで浮上したのがデジタル保存だ。保存の対象は明治時代から1968年までの図書など約90万冊。今年度から2年間で総額127億円を投入する大事業だ。そのうち14万6000冊分のマイクロフィルムのデジタル化をコダック(東京都千代田区)が担当する。 作業は、最初にフィルムをスキャナ