大阪科学医療グループ・木村俊介、香取啓介、瀬川茂子 ◇「福島」の危険性 90年代から指摘 東京電力の福島第一原発が制御不能になったのは、津波の研究が進歩していたのに、その成果を東電が安全性の検討に生かしていなかったからだ。大津波の襲来は少なくとも20年前からわかっていた。国による古い原発の再審査も、費用を懸念する産業界の反対で遅れていた。 ◇過去に襲来の痕跡 福島第一原発を襲った津波は高さ14メートルを超えた。東電が想定していた5・4メートルの3倍近い。海沿いの施設は壊滅的な被害を受けた。経済産業省の原子力安全・保安院は、非常用の発電機の燃料タンクなどが壊されたと見ている。 約120キロ北にある東北電力女川原発が9・1メートルの津波に備えており、大きな被害が無かったのとは対照的だ。 福島第一原発は、外部からの送電も鉄塔が倒れて止まり、非常用の発電機が動かず、「停電状態」になった。緊急炉心冷