大阪市立桜宮高校バスケットボール部主将の男子生徒の自殺を機に実施された詳細な体罰実態調査で、これまで見過ごされてきた体罰の多くがあぶり出された。「体罰自殺」の衝撃は大きく、ロンドン五輪代表を含む女子柔道選手への暴力指導問題も表面化し、「体罰」はいじめ同様、社会問題化したが、学校現場で体罰根絶の意識が高まったことは評価できる。 だが体罰を過度に意識するあまり、法で認められた厳しい指導を躊躇(ちゅうちょ)する先生が増えることも懸念される。学校基本法は児童生徒に居残りなどの懲戒を加えることを認めている。「悪ふざけをして逃げた児童をつかまえ、胸元をつかんで叱った行為は体罰に該当しない」との判例もある。 近年は子供を叱れない若い先生が増えているという。「体罰根絶」のムーブメントが叱れない先生をさらに増やし、叱れる「熱血先生」の指導を萎縮させるとすれば本末転倒だ。 いじめ問題では自殺などが起きると、社