フィリピンのスービック海軍基地とクラーク空軍基地は、かつて米国外の米軍基地としては、最大規模を誇っていた。ところがクラーク空軍基地は、1991年6月に起きた火山噴火で使用不能となる。 ▼スービック海軍基地もまた、その年の9月にフィリピン上院が米比基地協定の延長を否決したために返還が決まり、翌年、米軍は撤退した。政治経済学者のローランド・G・シンブランさんは、「脱米軍」の理論的支柱となり、基地跡地の転用にも関わった人物だという。 ▼シンブランさんは、2年前に邦訳が出た『フィリピン民衆VS米軍駐留』という著作のなかで、米軍の横暴ばかりを強調する。不思議なことに、南シナ海をはさんで向かい合う中国の脅威には一切触れない。実際には何が起こったのか。 ▼中国は、米軍の撤退を待ってましたとばかりに、フィリピンが領有を主張していたミスチーフ礁に軍事施設を建設した。さらに、北部ルソン島沖のスカボロー礁にも、
10日、北京で海外メディア向けに記者会見し、安倍晋三首相の歴史認識などを批判した中国外務省系シンクタンク、中国国際問題研究所の曲星所長 (共同) 安倍晋三首相の靖国神社参拝から3週間以上がたった今も、中国による安倍氏批判はやむどころか激しさを増している。世界各国に駐在する中国大使らが現地有力紙への寄稿などを通じ、「侵略の歴史の美化と戦後国際秩序の否定こそ、安倍氏の靖国参拝の本質だ」などと、一方的な主張を拡散し続けている。 中国の狙いについてシンガポールの英字紙、ストレーツ・タイムズ(電子版)は8日付の論評で、専門家の次のような見解を紹介した。「たいていの国は、日中間のもめ事に巻き込まれたくないと思っている。中国もそれは知っているが、安倍氏の靖国参拝を、歴史と第二次世界大戦の結果を覆そうとする意図の表れだと描くことで、国際問題に変え、もっと多くの国に日本を非難させることができると考えている」
文部科学省が教科書作成の指針となる学習指導要領の解説書に、竹島や尖閣諸島を「我が国固有の領土」と明記することを検討している。 これまで明記されていなかったことが問題だ。領土への理解を深める教育を充実させたい。 学習指導要領の解説書は指導の重点などを説明したもので、教科書や授業に反映される。 平成20年に改定された現行の中学用解説書では竹島について記述されたが、「固有の領土」との明記は見送られた。自民党の福田康夫政権時で、政府は韓国側に配慮したことを認めていた。 翌年改定された高校用は民主党政権下でさらに記述が後退し、竹島の言葉を入れず、「中学校における学習を踏まえ」とあいまいな表現になった。 北方領土についても中学解説書にあったロシアに不法占拠されている事実の記述が省かれた。 解説書の領土に関する記述の見直しは、指導要領改定より前倒しで来年度の中学教科書の検定に適用するよう検討されている。
東京都知事選(2月9日投開票)は、5千万円受領問題を受けた猪瀬直樹前知事の辞職に伴うものだけに「政治とカネ」の問題がクローズアップされている。こうした中、出馬の意向を示す元首相の細川護煕氏(76)も、かつて佐川急便からの借り入れ問題で結果的に内閣総辞職に追い込まれた。細川氏側は22日の正式な出馬会見で、国民の信頼を裏切ったとして陳謝する方向で調整している。 ◇ ◆知事選前の提供 「経緯は猪瀬氏の辞任と酷似する」。平成6年の細川内閣の崩壊の際、衆院予算委員会で佐川急便からの1億円借り入れ問題を追及した元通商産業相で、自民党都連最高顧問の深谷隆司氏(78)は振り返る。 細川氏が1億円を借り入れたのは昭和57年9月で、熊本県知事に初当選する前。政治資金収支報告書への記載はなかった。野党側は「選挙の裏金だったのではないか」と厳しく追及。一方、猪瀬氏の現金受領も一
米国内で、韓国系団体による反日運動が活発化している。州議会などが不当な動きに影響されないよう、日本政府は丁寧で積極的な説明を広く行う必要がある。 米南部バージニア州議会の上院教育厚生委員会は、州内の公立学校の教科書に、「日本海」に加えて韓国での呼称である「東海」の併記を求める法案を賛成多数で可決した。 これは「国際的に確立された呼称」とする日米両政府や国際水路機関(IHO)の見解を無視したもので、容認できない。 法案を提出したのは韓国系住民が多い地域を地盤とする議員で、韓国系住民から献金を受けている。選挙目当ての売名行為と批判されても文句は言えまい。 佐々江賢一郎駐米大使が「韓国の主張に沿う提案が出ているのは問題だ。(同様の動きが)さらに広がらないよう努力したい」と語ったのは当然だ。本会議での否決を働きかけてほしい。 バージニア州だけではない。韓国系団体は、2017年3月までに、全米50州
東京都知事選を「脱原発」で戦おうと、細川護煕、小泉純一郎の両元首相が連携を確認した。 17日に正式に出馬会見する細川氏は「原発問題は国の存亡にかかわる」と話し、小泉氏は「原発ゼロでも日本は発展できる」との認識を共有できたとして細川氏への応援を表明した。 2人に共通するのは、都知事選をてこに「脱原発」の世論を一気に拡大する狙いだろう。 だが、原発というエネルギー政策の根幹を決めるのは国の役割である。どうしても「原発ゼロ」を実現したいなら、今一度国政に打って出て問うべきだ。 他にも多くある都政の課題を脇に置き、「脱原発」に都知事選を利用するのはおかしい。 小泉氏は「今回の知事選ほど国政に影響を与える選挙はない」として、原発ゼロか、再稼働容認かという、2グループによる争いだと言い切った。 小泉氏は首相時代、郵政民営化という単一テーマで衆院を解散し、大勝利を収めた。 都知事選でも同様の展開を描いて
□埼玉大学名誉教授 長谷川三千子 新年早々おめでたくない話--どころか、たいへん怖い話をいたします。このままでゆくと日本は確実に消滅する、という話です。 日本の人口は昨年の10月1日で1億2730万人となりました。すでに8年前から減少に転じて、今のところ毎年20万人ほど減り続けています。 ≪千年後の日本人口ゼロに≫ だからといって何が怖いのか、と首をかしげる人も多いでしょう。戦後急に増えすぎた人口がもとに戻るだけではないか。毎年20万人減れば百年後には1億そこそこの人口になってちょうどよいのではないか--そう考える方もあるでしょう。しかし、そういう単純計算にならないというところが人口減少問題の怖さなのです。 今の日本の人口減少は飢餓や疫病の流行などでもたらされたものではありません。出生率の低下により、生まれてくる子供の数が減ることによって生じている現象です。子供の数が減れば、出産可能な若い
アメリカよ、どうしたのだと、思わず尋ねたくなる。 わが国唯一の同盟国であるアメリカを最重要の戦略的パートナーと位置づけつつも、いま、私は、オバマ政権への失望を禁じ得ない。 安倍晋三首相の靖国神社参拝を受けて、東京の米国大使館が「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させる行動をとったことに米国は失望している」と表明したことに、失望と懸念を抱いている。 米国の反応を、膨張し続ける中国がどう解釈するかを考えれば、オバマ政権が長期的視点で中国の戦略を分析し、その真意を測ることをおろそかにしてはいないかと、懸念せざるを得ない。 国務省も大使館同様の声明を発表した。米国は靖国問題が政治的要素となった経緯についてどれほど調べた上で発表したのだろうか。 靖国参拝が問題視され始めたのは、歴代の日本国首相が合計60回の参拝を果たしたあとの1985年9月だった。いわゆる「A級戦犯」合祀(ごうし)が明らかになった
政府が、領海の範囲を決める基点となる離島のうち、所有者のいない離島が約280に上ることを把握し、重要国土として国有化する方針を決めたことが4日、分かった。名前のない離島は名称公募することも検討。業者に委託して所有者情報や面積などの精査を進めており、来年度から国有化後の具体的な管理方法を本格的に検討する。 山本一太海洋政策担当相が産経新聞の取材に明らかにした。内閣官房総合海洋政策本部によると、領海の基点を構成する離島は約400ある(重複を除く)。日本の領海は昭和52年の領海法などで境界が確定しているが、これまで基点となる島に所有者がいるかどうか調査していなかった。昨年8月から関係省庁で調査を進めたところ、有人離島が約50、無人離島が約350あることが判明。無人離島のうち所有者がいるのは2割で、所有者のいない無主の島が8割に上ったことが分かった。 山本氏は「国境離島の重要性に鑑みれば、無主の島
【上海=河崎真澄】深刻化する中国の大気汚染問題で、復旦大学(上海)の研究グループは産経新聞の取材に対し、心臓など循環器系で疾患を引き起こす危険性のある微小粒子状物質として、「PM0・5」の存在を指摘し、中国当局に大気汚染の監視範囲を広げるよう求めていく意向を明らかにした。注目されている「PM2・5」よりも粒子の直径が小さいため、肺の奥まで侵入して血液中に流れ込み、心臓や弁などに障害を与えることが懸念されるという。 大気汚染をめぐり、中国では急性気管支炎など呼吸器系の健康被害を訴える患者が急増。また、世界保健機関(WHO)の専門組織は昨年10月、「がんの原因になる」との初の研究結果を公表していた。さらにPM0・5により循環器系の疾患リスクも高まることが確かめられれば、大気汚染の健康被害問題は一段と深刻さを増すことになる。 PM0・5の研究を進めているのは復旦大学の●(=もんがまえに敢)海東(
景気循環論で著名な嶋中雄二氏(三菱UFJモルガン・スタンレー証券参与、景気循環研究所長)は、これから日本経済は4つの景気循環がすべて重なるゴールデン・サイクルに突入し、2020年の東京五輪に向けて、日露戦争・神武景気以来の歴史的勃興期がやってくるという。 同氏によると、世界経済は50~60年周期の超長期循環で2011年を分水嶺(れい)として上昇期に突入する。その牽引(けんいん)役は、世界的なエネルギー革命であり、主として米国のシェールガス、日本のメタン・ハイドレートなど日米基軸で展開するという。 しかも日本の場合は、その超長期循環の上昇局面に加えて、建設投資の長期循環(12~40年)、設備投資の中期循環(8~12年)、在庫投資の短期循環(3~8年)がいずれも上昇局面となり、4つの景気循環がすべて重なるというのである。 その歴史的なサイクルは、日露戦争(1904~05年)の大底から第一次世界
安倍晋三首相が靖国神社に参拝した。多くの国民がこの日を待ち望んでいた。首相が国民を代表し国のために戦死した人の霊に哀悼の意をささげることは、国家の指導者としての責務である。安倍氏がその責務を果たしたことは当然とはいえ、率直に評価したい。 ≪慰霊は指導者の責務≫ 参拝後、首相は「政権が発足して1年の安倍政権の歩みを報告し、二度と戦争の惨禍によって人々が苦しむことのない時代をつくるとの誓い、決意をお伝えするためにこの日を選んだ」と述べた。時宜にかなった判断である。 安倍氏は昨年の自民党総裁選や衆院選などで、第1次安倍政権で靖国神社に参拝できなかったことを「痛恨の極みだ」と繰り返し語っていた。遺族をはじめ国民との約束を果たしたといえる。 靖国神社には、幕末以降の戦死者ら246万余柱の霊がまつられている。国や故郷、家族を守るために尊い命を犠牲にした人たちだ。首相がその靖国神社に参拝することは、国を
≪常軌を逸しプロパガンダに≫ 特定秘密保護法への根拠のない不安が広がっている。内閣支持率も10ポイント以上下がった。先日もテレビのワイドショーが、東京・巣鴨の街頭で70代女性の「特定何とかという法律、怖いわ」と答える映像を流していた。内容を知っているとは思えないこの女性を含め国民が同法に不安を覚えるのは、一部の新聞が反対の大キャンペーンを張ったからだ。代表格、朝日新聞の報道は常軌を逸していた。 同法が国会で成立した翌日の7日付同紙朝刊は、1面が「秘密保護法が成立」の白抜き横の大見出し、2面も「数の力 強行突破」の白抜き横見出し。第1社会面は「反対あきらめぬ」の白抜き横大見出し、「『廃止する活動 始めよう』」の縦見出しに、「怒り 列島包む」として全国5カ所の反対運動の写真を掲載している。大勢集まったようには見えないのに…。第2社会面に至っては「戦中に戻すな」の白抜き横大見出しに「『国民同士監
原子力規制委員会が重い腰を上げた。 日本原子力発電の敦賀原子力発電所(福井県)2号機の直下を走る破砕帯について、規制委による再調査が行われることが決まった。 規制委はこの破砕帯を「活断層である」と5月に認定したが、原電は納得せず、活断層ではないことを示す追加調査結果を添えて再調査の実施を求めていた。 規制委は再調査を形だけに終わらせてはならない。原電が示した新たな知見を、純粋に科学的な立場で検討することが必要だ。 調査には規制委の有識者以外の専門家を加え、新たな意見を求めることを勧めたい。規制委は過去に原発の地盤評価などに関わった経験者を排除しているが、それはおかしい。科学の真理は普遍であり立場の差は無関係のはずだ。 にもかかわらず、有能な経験者を拒み続けるなら、規制委の金看板である「科学的判断」を自ら否定する自己矛盾に陥ろう。 規制を受ける側の電力会社は、絶大な強権を持つ規制委に対して弱
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